78. リットルの単位記号


組版・DTPのいろいろな仕事で、体積を表す単位リットルのlやmlの小文字「l」を、大文字の「L」に直す指示により、 LやmLに変わるものをここ数年よく見かけます。昔よく使っていた筆記体の ℓ やイタリック小文字の l はあまり見かけなくなりました。専門書でも同様の修正を見かけますが、特に、教科書や学習参考書の分野では、ほとんど大文字の「L」になってきているようです。

今まで長い間見慣れていたものが変わったときは、組版・DTPの直しを担当する側でも、理由を知っていた方がよいことがあります。知らないと、見慣れないものを誤記、誤った指示と勘違いしてしまうこともあるからです。

教科書や学習参考書を出版している会社の説明によると、以下のようなことです。

国際単位系(SI)では体積の単位は「m3」「dm3」と定められている。ただし、リットルも立体の小文字「l」と大文字「L」の表記でSIとの併用が認められている。
平成20年前後くらいからの教科書検定等において、国際単位系(SI)の単位又はSIと併用される単位がある場合には、原則としてこれによる。リットルは、立体の「l」または「L」を用いるように、との意見や基準が示された。
立体小文字の「l」は数字の1と見間違えやすいので大文字の「L」を用いる。

組版的には、mℓよりもmLの方が字体変換等の面倒もなく、見た目もすっきりしていてよいのですが、飲料・ビール等の容量表記は、小文字のlで「ml」とする表記が多いので、分野によっての使い分けが必要になりそうです。

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