54. スラッシュ（斜線）を指定する校正記号

JIS印刷校正記号（2007年改正）の「表２ 修正の指示及び組版指定に用いる併用記号」に、スラッシュ（斜線）を指定するものとして、２つの校正記号が示されています。

全角の斜線は正方形、二分の斜線又はプロポーショナルの斜線は長方形で囲む。

この校正記号を見慣れていない修正作業者は、全角アキと誤認してしまうこともあるようです（全角アキの指示は、併用記号として 全角 と □ という別のものがあるのですが）。

組版の現場では、このスラッシュの校正記号を全角アキの指示として使っている例を見かけたこともあります。数字の 0ゼロ と英字の Oオー を区別する目的で、手書きで書くときに数字のゼロに斜線を付けることがあるように、記号としての□（白四角）と区別するような意味で、※が使われることがあるのでしょうか？　スラッシュ（斜線）は、数字・文字・単位を区切ったり、並列して表記する目的で使われる記号なので、同じような目的で使われることのある全角アキのつもりで書かれた朱字は、どちらを求めているのかその部分だけからは判別が難しいこともありそうです。

併用記号の中には、そのまま単独で記入すると、見逃しや、他の記号と誤認されてしまうおそれがある中黒・三点リーダ等を□で囲む校正記号（例：、）が示されていて、よく使われていますが、JISで定義されているこのスラッシュの校正記号は使う方が少ないせいか、慣れていない作業者もいるようです。

少し手間ですが、誤認を避けるためか、／を朱、□を黒えんぴつで書くという方法（例：）をとっている例も見かけることがあります。

※	同じ形で“枡記号”（）というのがあるそうです（U+303C、JIS X 0213）。丁寧体の語尾「ます」の置き換えで「生ビールあり」等とも使われます。