219. 書籍のコーナーを攻めるデザイン
- 2019年03月15日
- その他
購入した四六判の書籍をパラパラ見ていたら、左ページ(奇数ページ)の柱の位置が、随分と左上に寄っていることが気になりました。こういうものを見ると、攻めているなー(独創的、大胆)と思います。職業病です。柱の文字サイズ5ポ、天側5ミリアキ、小口側5ミリアキのようです。コーナーのギリギリを攻めたデザインですね。
ただし、仕上がりに寄れば寄るほど、仕上がりとのアキの差は目につくものです。実際に仕上がりとのアキがどうなっているか何か所か見ると、当然のことですが小口側のアキの違いが目につきます。版面から1字分内側に柱をおく昔ながらのレイアウトでは、それが気になることはありません。
小口側のアキのバラつきがどんな風になっているのか、購入した1冊で集計してみました。
ざっと、数えたところでは、
のような具合です。
ちなみに、天側のアキのバラつきはおおむね1ミリ程度の範囲に収まっています。
厚みのある紙を折って重ねる製本の仕組み上、見た目のアキは、どうしてもバラつきがでます。仕上がりとのアキ5ミリは、文字が切れるリスクは少ないギリギリの位置なのでしょう。
参考:「言葉にできる」は武器になる。梅田悟司、日本経済新聞出版社、2016年
~おまけ~
◆ クリープ処理
小口側のインデックス内の文字やノンブルが断裁されるのを避ける手法で、ページ数の多い中綴じ製本では、CTP面付け時に「クリープ処理」というものをすることがあります。いちばん内側の折を何ミリ(最大値)ノド側にずらすという設定で、いちばん外側の折との間を案分した値(1折:0mm,2折:1mm,3折:2mm,4折:3mmのような感じ)で面付けを行います。ページ数が多い(折数が多い)場合は、ずらす量も多くなります。印刷用紙の斤量や判型等にもよりますが、3mm~6mm程度ずらすのでしょうか。見本を作って、真ん中の針金が見えるところを開き、左右サイズを測ると正確な数値が分かります。ただし、見開きに写真や図版をまたいでデザインする場合は、ノド側の絵柄が削れてしまうので使えません。
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