102. 校正紙を原寸に保つことは案外難しい


校正紙は原寸サイズでやり取りするものであることは、わざわざ断わる必要がない当たり前のことだったはずですが、拡大・縮小された校正紙で内校正を行うことが多くなってきています。例外的に、文字サイズがあまりにも小さいなどの特別の理由があって拡大したものも付ける等のことはありましたが、意図せずに校正紙が拡大・縮小されてしまうことが結構あるようです。

校正紙が原寸サイズであるべき理由は、出版物の校正が、文章の校正とともに様々なサイズの校正も同時に行われるものだからです。版面のサイズ、余白のサイズ、文字サイズ、図版・写真のサイズなどなど。本当は小さくて可読性が非常に悪い文字も、少しでも拡大されたもので見ているとそれに気が付くことは難しくなります。また、拡大・縮小された校正紙では、DTPデータの修正後に、念のため行う「あおり校正」も精密にはできなくなります。

校正紙が拡大・縮小される主な原因はPDFやファクシミリでのやり取りです。
PDFから校正紙をプリンタ出力する際に「実際のサイズ」とするべきところを、用紙に「合わせる」が選択されていると、出力された校正紙は原寸でなくなります。ただし、修正の指示が書き込まれPDF化された校正紙では、余白に書かれた赤字が見えることを優先して、用紙に「合わせる」でプリントしたくなることもあるので、ちょっとした戻し忘れ等で拡大・縮小されることもあるかもしれません。

column_102 PDFから校正紙をプリントする時は、常にここの確認が必要になります。



====おまけ===
PDFから校正紙をプリントする際に、そのプリンタの「高画質」「高精細」の印刷モードで出力した方がよいことがあります。「標準」でプリントすると、同じフォントでも一部の文字が1ランク太いウェイトのものに見えてしまうことがあるためです。

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