121. 「恊」と「協」
- 2016年03月23日
- 用字用語
公共放送のテロップで、団体名に、
この2つの漢字は、力が3つのつくりの方に目が行きがちで、形の似ている偏の方の違いに気が付きにくいものです。
恊
「協と同字」、とする漢和辞典もある。
諸橋大漢和辞典には、「恊」の[参考]として、
「協は衆人の和する意。恊は衆心の和する意。」とある。
協
字義:①かなう、②あわせる、③ともにする 等
ネットで「恊働」と検索すると、タイトル部が「恊」の字のものもいくつかヒットしますが、そのすべてが意図的に使っているものなのでしょうか? 同一ページ内に「協働」と「恊働」が混在していたりすると、意図的なのかどうか、と疑ってしまいます。ひとつ、これは意図的に使っているのだろうと思われるところがありました。「被災地○○○恊働センター」(ヘッダーの団体名の画像も「恊働」となっているので)。TVのテロップで見たのはこちらのようです(誤植ではありませんでした)。
“心”が偏になるときのかたち;りっしんべん「忄」の「恊」は、「協」が常用漢字としてあるので、あまり使わない字と考えてよいもので、協働とするのが一般的です。ただし、“心を合わせて働く”というような意味をもたせたいときに、「恊」の字を意図的に使うことがまれにあるのかもしれません。
組版の現場では、以前に中国語の入力・組版をしていたマシンで、何度か意図せず「恊」の字が入ったこともあり、誤って入ってしまうことのあるもので、注意が必要なものと認識しています。
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