197. ピクセル数から使用可能サイズを計算
- 2018年07月26日
- その他
画像データの大きさ(幅×高さ)を表す単位に「ピクセル」があります。画像サイズを具体的に、幅400ピクセル×高さ257ピクセル等と示されても、なんだかピンときません。DTP・組版の現場で扱う画像データは、解像度(350dpi等)とドキュメントサイズ幅○○mm×高さ△△mmをセットで認識するクセがついているため、ということもあるでしょうか。
入稿データとして支給されるJPEGやTIF等の画像データが、印刷に適したものかどうかを、問われる場面がよくあります。オフセット印刷175線に必要な解像度は、線数の倍の350dpi(高精細印刷では400dpi等)。ただし、少し離れてみることの多い大判のポスター等は200~250dpiで十分。出力解像度が600dpi程度のオンデマンド印刷用では、150dpi程度とします。ファイル容量が大きくなることが気にならない環境であるのならば、解像度が少し高めでも問題はありません。
出力の現場では、画像データが印刷に適しているかどうかを問われる場合、Photoshopで開いて、絵柄をみつつ“画像解像度”ダイアログボックスで再サンプルのチェックを外した状態で、解像度かドキュメントのサイズ(=使用サイズ)を入力したときに、自動で計算された数値で確認するという手順をとることになります。
◆ピクセル数から使用サイズ・解像度の手計算
①ピクセル数と必要な解像度から“使用可能サイズ”を計算、
または、
②ピクセル数と使用サイズから“解像度”を計算する
のであれば、以下の式で求めることができます。Photoshopを使う環境がないときに、現場の人の手を煩わせることなく、確認ができます。
◆サンプル画像のピクセル数:
幅400ピクセル×高さ257ピクセル
◆計算に必要な数値
・1 in=25.4 mm
・1 mm=0.03937 in
①350dpiとすると、使用サイズは最大左右(幅)何ミリとなる? | ||
( | この計算によりオフセット印刷で、使える/使えないが分かります。) | |
400ピクセル÷350dpi=1.142 (1インチあたり何ピクセル) | ||
1.142×25.4ミリ=29mm (単位をインチからミリに変換) | ||
→ | 元がWeb用の解像度の低い画像なので、印刷用の解像度にすると小さいサイズになる。 |
②使用サイズを60ミリとすると、何dpiになる? | ||
( | 何dpiにしかならない、という説明が必要な場合はこちら。) | |
400ピクセル÷60ミリ≒6.667 (1ミリあたり何ピクセル) | ||
6.667÷0.03937≒169.3dpi (単位をミリからインチに変換) | ||
または、6.667×25.4≒169.3dpi | ||
→ | オフセット印刷用としては低い解像度(ぼやけた感じになる)になります。オンデマンド印刷であれば適当。 |
計算式を覚えておくのが得意でない場合は、Webで「画像 ピクセル ミリ換算」するためのサイト(解像度を設定して、ピクセル数から使用サイズを計算する)を探して、都度利用するとよいかもしれません。(➩Photoshop「画像解像度」画面で行われるような、ピクセル数から使用サイズまたは解像度の計算ができるものを試作しました。お試しください)。
データ入稿時の画像データの確認では、Windowsフォトビューアー等で開いたときに大きいか小さいかで、使用するサイズで解像度が足りそうかどうかを、感覚的に判断したりしています。具体的には、画面解像度が80~120dpi程度、印刷用の画像解像度を350dpiとすると、元の画像が使用サイズの3~4倍以上のサイズ(mm)であれば、ほぼ足りるという具合です。
~おまけ~
dpi(ドット・パー・インチ)の「インチ(=2.54cm)」という単位ですが、普段センチメートル・ミリメートルで生活・仕事をしている私たちには、実際にはどのくらいのサイズであるかの実感を持てていないような気がします。身近なところでは、液晶テレビのサイズ(例:37型=対角線が37インチ)、自転車の車輪サイズ(例:26インチ)くらいでは見ることがありますが。検索すると、1インチは男性の親指の幅(ツメの下側あたりの幅)という記述も見られます。その幅で1インチのイメージを覚えておけるとよいのかもしれません。
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