207. 効果を適用したオブジェクトがギザギザに(Illustrator ラスタライズ効果設定:解像度が影響)
- 2018年10月17日
- その他
初校入稿データ(Illustrator AI形式)で、アウトライン化された文字や線・丸の部分を、効果「粗いパステル画」を適用してかなり粗いギザギザな感じに表現されていたものが、再校用の支給データでは、ずいぶんとキレイになってきたものがありました。
これは、Illustratorの「ドキュメントのラスタライズ効果設定」の解像度が、効果を使用して作成されたオブジェクトに影響しているためのようでした。ラスタライズ(=線や面などのベクター形式の図形要素を、ドットの集まりのビットマップ画像に変換すること。かつては、透明を含むオブジェクトを画像化していたことも)といわれると、個別に画像化する際の設定(ラスタライズの解像度)と混同しがちですが、「ドキュメントのラスタライズ効果設定」は、アートワークの状態のものに影響があることを、きちんと認識する必要がありそうです。使われることの多い効果「ドロップシャドウ」での同様の事例が、いくつかのサイト(.Too MacサポートFAQ等)で説明されているのが見られます。
今回の案件では、初校の時に、なんとなく粗いイメージのデザイン表現だなーという印象があったのですが、再校時の支給データの出力見本がキレイになっているにもかかわらず、内校正に上がってきたものが、初校と同様のギザギザの状態で、どうしてだろうとなりました。
原因を調べてもらう過程で、以下のように「ドキュメントのラスタライズ効果設定」の解像度が異なることが分かりました。 | |
〔初校時の支給データ〕 | |
解像度:スクリーン(72ppi) | |
〔再校時の支給データ〕 | |
解像度:その他(400ppi) ※選択できる高解像度は300ppi |
今回の件の落とし穴は、その設定が「ドキュメントのラスタライズ効果設定」であることです。オブジェクトに設定されているものではないので、データを修正する際に、差し替え用支給データの解像度が変えられていることを知らされていない作業者が、指示のとおりに、初校のドキュメントのラスタライズ効果設定が“スクリーン(72dpi)”のところに、オブジェクトのコピー&ペーストで対応したためでした。広告等を含む複数の部品を合わせて仕上げる表紙などでは、注意が必要です。
このようなトラブルを避けるためには、出力見本のPDF・出力紙を添付するとともに、受け取る側・作業する側が認識できる形で、何をどう変えたのか、修正の意図が正確に伝わるよう配慮した、校正紙への「文字・画像を鮮明に」などのコメントが必要になります。
~おまけ~
Illustratorの作業が重いと感じるときの対策のひとつに、ドキュメントのラスタライズ効果設定の解像度を“スクリーン(72dpi)”とする手法があるようです。効果を使っている場合に処理が早くなるとのことです。
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