1. 校正記号の“イキ”(修正を取りやめ、校正刷又は出力見本の状態のままとする)
- 2013年08月30日
- 校正
校正紙(ゲラとも言う)に修正の指示(赤字)を入れた後に、修正を取りやめ、元の文字のママにするには、赤ペンで書き入れた赤字と引出し線を二重線または斜線等で消し、元の文字の近くに校正記号の“イキ”を書きます。二重線や斜線等で消した赤字の近くに“イキ”と書くと、消してしまった赤字を生かす(で直す)指示とも見えてしまい、修正を担当するオペレータが混乱します。
“モトイキ”はJISで定義されている校正記号ではないのですが、ときどき見かけます。修正を担当するオペレータにも“イキ”と同様に意味は正しく伝わります(モトイキと入力されてしまうことはほぼないと思われます)。修正を取りやめる=元のままとする意味で覚えやすいのでしょうか。ちなみに、削除し、削除した部分を詰める記号の“トル”には、JISで許容の校正記号として“トルツメ”が提示されています。
“イキ”という校正記号は、修正の指示(赤字)の文字・記号を二重線や斜線等で消してしまった場合、その修正指示を生かすときには使用できません。言葉としての「生きる」「生かす」というつもりで、「赤字がイキ」のようには使えないことになっています。修正を取りやめる(=赤字で修正はしない)という意味の校正記号の“イキ”とは正反対の動作(=赤字で修正する)の指示として同じ記号を使ってしまうと、間違えや混乱の原因になるためです。その際は、可読に問題がないようなら“消してある赤字で直す”と明確に指示をするか、新たに書き直すと間違いがありません。口頭でのやりとりでも「赤字がイキ」等と言うことは、同様にお勧めできません。
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