74. プリンタでは太くなる文字
- 2015年03月06日
- その他
昔からの「よくある質問」を、今でも受けることがあります。PDF入稿で白焼きを出校し、CTP出力する仕事で、作字(文字をアウトライン化して作字したものをインラインで入れている?)部分だけが、低解像度・600dpiのプリンタで他のフォントの部分と比べて太くなってしまっていたところが「きれいに出るでしょうか?」というものです。
アウトライン化された文字は低解像度のプリンタで、その部分だけがかなり太く見えます。高解像度・2400とか3000dpiのCTP出力では、フォントの部分との太さの違いはほとんど分かりません。アウトライン化(図形化)すると、通常のフォントでは行われているヒント処理がされないため解像度の低い処理では太く見えるということでしょうか。理屈では分かっていても、目の前に見えている太さが全然違うので、不安になる気持ちは分かります。
説明が必要となる場合(特に、説明を必要とする方まで、間に何人もいる場合)、解像度の話で終えるべきか、フォントのヒント情報(処理)の話までするべきか悩む場合もあります。説明を求められる側もフォントの技術的な内容にそれほど詳しいわけではありませんが、日々さまざまな仕事の低解像度のプリンタや、高解像度のCTP版によるオフセット印刷物を目にしていると、どのようなことになっているのかが経験的に分かっています。
OpenTypeで使える漢字が大幅に増えたことにより、中国等の古い文献の引用・解説があるものを除き、作字をする機会は少なくなっているので、これからは太くなる文字を見る機会もすくなくなるのかもしれませんが、誰かが「大丈夫です」と言ってあげないといけない問題なのでしょう。
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