80. 校正のえんぴつ
- 2015年05月12日
- 校正
文字校正では「赤色の筆記具を使う」というのが原則ですが、校正作業の途中では黒のえんぴつも使うことがあります。読みにくい・分かりにくい赤字箇所に補足をするとき、例えば、くずして書かれた赤字の横に、黒のえんぴつで楷書で注記したりします。これは、赤字を書いた人とは別の人が注記していることを示す場合や、赤色での補足説明はその部分も修正の対象であると誤認されてしまうリスクがある、という考え方によるもののようです。
また、編集者・著者・校正者の組み合わせにより、校正のスタイルはさまざまです。校正の担当者、役割・権限の違いにより使う筆記具の色を変える(青字、緑字、黒えんぴつ字等)こともあります。
外部の校正者の方に校正を依頼する際に、疑問出し・鉛筆出し・指摘事項等と呼ばれる、黒えんぴつで書かれるものが校正紙に記入されることがあります。最終的に、編集者がそのえんぴつ書きの直しをするのか、しないのかを赤丸をすることにより示します。
その作業がされていないと思われる校正紙を受け取った場合には、「えんぴつで書かれているものはどうしますか?」と確認を行います。通常の出版社様の仕事では、黒のえんぴつで書かれたところは直す必要のない部分で、誤って直してしまうと再修正を求められことになります。
もろもろの事情で、黒のえんぴつの部分も直す必要がある場合は、各校正紙の先頭に「えんぴつも直す」と明記しておくと、不要な問い合わせの電話がかかってくることがありません。
※このコラムおよび、コラム中の文章、画像、動画の無断転載および複製等の行為はご遠慮ください。