85. 中付きルビ:三分ルビを使用
- 2015年06月30日
- 組版・DTP
新作の時代小説を読んでいて、ルビ3字・4字・5字に“三分ルビ”(親文字1文字にルビ3文字がぴったり入るように、親文字の約33%のルビサイズになっているもの)を使っているものを見かけました*。児童が使う教材・ドリル等の学参ものでは、よく三分ルビを使いますが、一般的な書籍においては今まであまり見ないパターンだったのではないでしょうか。
*文京組版の近所の大手K社の単行本・2015年4月発行のもの
親文字1文字に対してルビを対応させたい場合には、従来は、通常(正体)のルビを中付きで組んでいたはずです。中付きで親文字1文字に対してルビをセンターとする組み方では、ルビの付いた親文字の前後のアキが少し広くなる傾向があります。また、ルビの文字数や前後の文字の種類(約物、漢字、かな)により、親文字前後のアキの量や、文字掛けする/しない処理が異なり、少し複雑なルールを理解することも必要になります。
三分ルビを使い、前後の文字にルビを掛けないことにするならば、組版ルールはシンプルになるでしょう。おおむね以下のような感じでしょうか。
・中付き、三分ルビを使用(ルビ4字、ルビ5字にも)
・ルビ4字・ルビ5字の場合、前後の文字にルビをかけない(熟語中も同様)
・段落頭のアキ、約物にはルビをかける。
(行頭・行末にルビがかかる場合は、調整が必要かもしれません)
ルビを付ける漢字が多くなるものでは、“三分ルビ”を使うこのような方式のルビの組版(中学校の国語の教科書のルビの付け方にも似ているようです)が、DTP・CTP・電子書籍の時代には、増えてくるのかもしれません。
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