10. 違いの分かる文字サイズ
- 2013年11月01日
- 組版・DTP
DTPでは、自由な文字サイズを設定できるものが多いようですが、組版で使用する文字サイズは何をよりどころにして決めたらよいのでしょうか。手元にある「写真植字Q数表」には、7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 20, 24, 28, 32, 38, 44, 50, 56, 62, 70, 80, 90, 100Qの24種の文字サイズが“□”で示されています。DTPが広まる前の時代、電算写植・手動写植では、基本的には、この級数表にのっている文字サイズしか使えなかったそうです。これだけあれば、見出し・本文・注など、文字サイズに違いをつけながら組版を行うことができるということでしょう。
文字サイズで使われる級数は1Q=0.25mmなので、1段の行長が何ミリか定規で計って、何字詰めかを数えれば、行長(mm)÷ 何字詰め × 4で、おおよその文字サイズ(級数)が計算できます。
本文で使われることが多い、12Q~15Qあたりは、1Qの違いでも、人間の目にはかなり大きさが違って見えるようです。0.5Q刻みで12.5Q等の指定を見かけることもあります。小さい文字で、一般的に印刷・可読に問題が起きにくいのは、Q数表の一番小さいサイズの7Qまでです。これより小さい、6Q・5Q・4Q等の文字は特別に小さな文字という認識が必要になります。印刷時に文字がつぶれたり、かすれたりすることがないかどうか、フォントの選定、印刷用紙の選定、校正方法等に注意を要する必要があるかもしれません。
今でも級数表は手に入れることができるようですが、編集・組版・校正に携わる方々が必ず使っているものなのでしょうか? 目盛がついていて定規の代わりにもなるし、計算の必要もなく校正紙にあてるだけで文字サイズや行送り値が確認できる便利なものです。文字サイズに違いを出したいときは、1ランク上・下、2ランク上・下あたりを目視で検討できます。
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