90. 欧文合字(リガチャ)
- 2015年07月17日
- 組版・DTP
一般的な分野の専門書、実用書、学習参考書の組版・校正では、しばらく欧文合字を意識しないし、出会わない時期が続くこともあります。組版の指定紙でも欧文合字についての指示はあまり見かけませんが、組版フォーマットを作成するレイアウトデザインの段階で考慮されていることがあるのでしょう。欧文合字について、組版・校正の現場ではどのような認識があるとよいのでしょうか。
◆ | 欧米の組版では欧文合字を適用することが一般的(とのこと) | ||
◆ | InDesignでも既定値は「欧文合字を適用」なので、きちんと設定しておかないと意図せずに合字が出現する | ||
◆ | 欧文合字になるのは、→など OpenTypeフォントの機能で、「f」と「i」や「f」と「l」などが隣りあった場合に、重なるところがダブって見えるようなことを嫌って、あらかじめ合字(リガチャ)としてつなげてデザインされたグリフ(文字の実際のイメージ)に置き換えます。フォントによっては、デザインされた合字のグリフはなく、欧文合字を適用とすると、文字と文字の間隔のみ狭くなるように見える文字の組み合わせもあります。 |
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学習参考書・語学書・専門書等の書籍で、欧文合字はどのように使われたり、使われなかったりするのでしょうか。組版の現場ではおおむね以下のような感じです。
◎ 合字を使う(使う設定または指示がある) | ||
日本語版を英訳した書籍 | ||
一部の専門書(英単語が多様されるもの等) | ||
◎ 合字を使わない(使わない設定または指示がある) | ||
中学英語教科書、指導書 | ||
学習参考書(中学英語)など | ||
◎ 使う/使わないが明示されない(が、使わないことも多いか) | ||
語学書、専門書、実用書 |
また、InDesignでは(特に、側注などで行長が短いところが)両端揃えになっていると、英単語等が追い出されて字送りが少し広くなる場合に、欧文合字が外れてしまうこと*があります。そんな時は、ハイフネーションで分けて追い込むか、強制的に改行して左揃えにするなどして対処します。
*和欧混植で日本語コンポーザー使用の場合
校正記号には“”「合字に変更する」というものがあります。合字をやめる際には、“合字にしない”とします。 |
***おまけ*** |
Word 2013では、一部のフォント(サンセリフ系のCalibri、Meiryo UI等)で欧文合字の機能が使えます。ただし、Wordのオプション-言語にて、編集言語の選択を“英語(米語)”とする必要があるようです。また、合字になっているものを編集言語が日本語の状態で作成したファイルにコピー&ペーストすると欧文合字は解除されました。
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