95. モノクロ写真の校正


スミ1色の一般書籍や2色の専門書・実用書で、写真がモノクロの場合、初校・再校は通常モノクロプリンタまたはカラープリンタで校正のやりとりを行います。

内校正のときに、キャリブレーション、カラーマネジメントされ照明環境も整えられたモニタで、腕の確かな担当者がレタッチし(=標準濃度で印刷すれば大きな問題はないはずのグレースケール画像でも、プリンタで出力されたモノクロ写真にアレ?と思うことがあります。写真の使用サイズにもよりますが、全体的に暗く見えるもの、シャドー部のディテールが見えにくく感じるものが時々でてきます。組版の現場では、画像担当のモニタで原寸表示にして確認すればよいのですが、プリンタだけで校正している場合、そのモノクロ写真の合否を判断することは難しいものもありそうです。

◆モノクロ写真の見え方に違いが出ることもあ(イメージ)

モニタ プリンタ
RGB→グレースケール変換・補正後に、画像担当のモニタで見るイメージ
(この画像のまま印刷するのが良いかもしれません。)
初校プリンタで見るイメージ
暗く見えるので「明るく」と修正指示
(画像修正時には、もう少し明るく仕立てた左の画像のイメージでモニタに表示されます。指示があるので、全く修正しないわけにもいかず、少し明るく直します。)
《標準濃度での印刷に近いイメージ》
修正後に画像担当のモニタで見るイメージ
再校プリンタでは、右のイメージでみえるが、オフセット印刷ではこちらのイメージに近くなるはず。
再校プリンタで見るイメージ

 

CTPと比べると、低い解像度で出力されるプリンタでモノクロ写真は、どの程度の階調が表現できるものなのでしょうか? 出力解像度が高めのプリンタで、ある程度の濃度管理がされていたとしても、その画像でオフセット印刷した時に、その写真のシャドー部のディテールが見えるのか見えないのか、プリンタで見えるように暗く刷られるのかも判別が難しい、イメージの異なる出力となってしまうこともあるようです。連続階調のモノクロ写真の中には、低解像度のプリンタでは表現しきれないものになってしまうこともあります。

また、どのデー(InDesign、PDFから、どんな能力・状態のプリンタに出力するのか、出力線数が決められるか等、出力条件の違いで違ったイメージに見えることもあります。画像解像度を150dpi程度に落としたPDFで校正、ということも多くなってきています。モノクロ写真は、表示するモニタの能力・設定・照明環境や、出力するプリンタの能力や状態によっても、オフセット印刷されるときとは違ったイメージに見えたり、出力されたりします。求める品質によって、プリンタで出力された校正紙は、モノクロ写真の校正には適さないこともありえると認識しておくとよいかもしれません。

目に見えるものを、そのとおりになると信じて「明るく」等と指示したら、オフセット印刷時には思ったよりも軽い写真で上がってしまった、なんてこともありそうです。モノクロ写真の階調の「質」にこだわりがある場合は、本紙の平台色校正等の別の校正手法も検討してみることをお薦めします。

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