13. オモテ罫
- 2013年11月22日
- 組版・DTP
組版や校正の指示で、細い実線を意味する「オモテ罫」は、今でも普通に見かけるものです(オモテ罫と対になるウラ罫の方は、あまり見かけることがないような気がします)。
組版の現場で、何人かに「オモテ罫って何ミリ(のイメージ)?」と聞いてみると、以下4つのサイズがありました。
● 0.1mm
● 0.12mm
● 0.15mm
● 0.3pt
手元の線巾ゲージには、上記の「0.1mm」「0.12mm」「0.15mm」が載っています。このあたりが「オモテ罫」の範疇にはいるもののようです。電算写植の頃から仕事をしている人は「0.12mm」でした。以前のスタンダードDTPソフトの頃は、「0.3pt」としていました。その近似値(0.3pt = 0.106mm)から「0.1mm」なのでしょうか。実際の仕事の際には、キリの良い細い方の「0.1mm」にすることが多いようです。
この言葉の語源となる、活版印刷時代の罫線の組版材料(表と裏で幅が違っていた)で刷られたオモテ罫の太さは、印刷時の用紙・印圧やインキ濃度等の条件により色々であったと想像されますが、おおよそ0.15mm前後だったのではないでしょうか。その後の印画紙で版下を作っていた頃は、丸ペンや0.1mmのロットリングで細い実線を書いていたこともあったようです。電算写植(写研)のオモテ罫は0.12mmでした。
DTP&CTPの時代となった今、「0.1mm」と「0.12mm」では印刷されたものを見分けることは難しいですが、「0.1mm」と「0.15mm」が混在していると、校正のプリンターでも太さの違いが気になることがあるかもしれません。「オモテ罫」は、細い実線を何ミリにするのか明確にサイズ指定(見本デザインデータ等)や前例があり、具体的な線巾を示す必要のないときには便利な言葉ですが、太さの混在を避ける必要性が高い場面では、「0.1mm」または「0.15mm」の罫と指定した方が良いかもしれません。
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