106. 正規表現スタイル


InDesign CS4(2009年リリースから使えるようになった正規表現スタイルですが、DTP作業を行わない編集者・校正者には、どんなものかイメージしにくい機能の一つかもしれません。

正規表現スタイルとは「こういうパターンの文字列に、そのパターンごとのスタイルを自動的に適用する」という仕組みです。「こういうパターンの文字列」という部分を、正規表現を使って表記します。効率的にきっちりと組版するために使われるものですが、原稿の内容によっては想定どおりにいかないこともあり、手直しが必要になることもありえます。使う/使わないの見極めが大事になることもありそうです。

正規表現スタイルは、DTP作業を効率的にする反面、想定した文字列の条件に合わないと、設定しておいたはずのスタイルが当たらず、内校正等で書体や文字サイズがおかしくなっているものを発見することもあります。校正紙でフォントや文字サイズ等のスタイルが思いどおりになっていないとき、それは正規表現スタイルで自動的に組もうとしたものが、破綻している部分かもしれません。

《正規表現スタイルを使う事例》
◆事例①
本文中のパーレンで囲まれたところを小さくする
[こういうパターン] “パーレンで囲まれた文字(前後のパーレンも含む
[正規表現例]    (.+?)
 →本文よりも1ランク小さくなるスタイルを適用
  column_106-1

ただし、以下のような場合は、上記の正規表現では手直しが必要にな(または、必要な部分だけ正規表現を使って検索・置換した方がよいかもしれません。
・パーレン内にさらに入れ子でパーレンがある。
 (入れ子を想定した正規表現も可能だが、少し複雑な表記となる。)
・数式等パーレンに囲まれていてもナミ字のサイズとしたい部分がある。

◆事例②
見出しの文字数により、字間のアキを指定どおりにする

[こういうパターン] [正規表現例]
① 段落の先頭に数字1ケタと全角アキのある“2字は”  (?<=^\d~().{2}$
→「2倍アキに見える字送り」になるスタイルを適用
② 段落の先頭に数字1ケタと全角アキのある“3字は”  (?<=^\d~().{3}$
→「2分アキに見える字送り」になるスタイルを適用
③ 段落の先頭に数字1ケタと全角アキのある“4字は”  (?<=^\d~().{4}$
→「3分アキに見える字送り」になるスタイルを適用

正規表現スタイルにより、スタイルがあたった見出しの例(上から①、②、③)
 column_106-2

*正規表現とは:UNIXのコマンドgrep、sed、awkなどで使われていた文字列のパターンを表す汎用的な記法で、組版の分野では電算写植時代にはMS-DOSに移植された上記のコマンドで文字列検索・置換を行っていました。Java、Perlなどの言語でも正規表現を扱うことができるようです。

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