109. “電算写植オペレーター”―人工知能やロボット等で代替可能になる確率の高い職業


証券会社系シンクタンクの試算―日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替が可能に―がニュースになっていました。その中で【ご参考】として、人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業の一つとして“電算写植オペレーター”が入っていました!!!! すでに、組版の現場の界隈では、ほぼなくなっている職業ではあります。かつてバッチ処理で、表組等の組版も行っていた電算写植オペレーターは、「必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業」とされているようで(ホントに??。すでに、DTPによって煩雑なコーディングは必要ではなくなった、とも言えるのかもしれませんが……。同じく身近な職業としては“プロセス製版オペレーター、“製本作業員”もランクインしています。

この試算は、“2030年”から日本を考える“今”から2030年の日本に備える。」をテーマに行っている研究活動のひとつで、601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算している、とのこと。

さかんに研究・開発されている自動車の完全自動運転が実現されれば“路線バスの運転者”の仕事はなくな(かもしれない、ということはなんとなくイメージできるとしても、どのように成り立っているかを具体的に知っている、自分の身近な仕事が同じように全自動化されるということをイメージするのは難しいようです。ここ25年で、組版・DTPの仕事は、色々なことが速くなってはいても、校正の赤字を直すという部分で、人間の手を必要とするところは、それほど変わってはいません。また、その他の部分を自動化するにしても、様々な約束事や事前の準(その仕事に限定のソフトの開発や設備投資が必要になることが多く、大量の仕事を短期間にこなす必要性が高い等、特別な理由がないと実現が難しい状況だからです。

一般的な組版・DTPの仕事で、業務を全自動化するとなると、複合機で赤字の入った校正紙をソーターで自動的に読み込んだPDFを渡すと、人工知能を組み込まれたレイアウトソフトがOCRで手書きの朱字や校正記号を読み取って、赤字の修正も行う、というような機能も当然必要になる、ということでしょうか?

上記の研究・試算では「創造性、協調性が必要な業務や、非定型な業務は、将来においても人が担う」ということで、出版系では“グラフィックデザイナー”“雑誌編集者”“図書編集者”は人工知能やロボット等による代替可能性が低い職業として挙げられています。20年(2035年頃?、残る職業の皆さんは人工知能やロボット等と仕事をするようになっているのでしょうか。そうなるのなら、現在の“DTPオペレーター”は、より創造性、協調性が必要な業務に移動することになるのでしょう。

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「従事する一人の業務全て、、を、高い確率(66%以上)でコンピューターが代わりに遂行できる(技術的に人工知能やロボット等で代替できる)職種」(ただし、「あくまで、コンピューターによる技術的な代替可能性であり、実際に代替されるかどうかは、労働需要を含めて社会環境要因の影響も大きいと想定されますが、本試算においてそれらの社会環境要因は考慮していません。」とのこと)。

**独立行政法人労働政策研究・研修機構が「職務構造に関する研究」の報告(2012年、調査は2008年・2009年)であげている601の職業がベースになっているとのこと。そこには、電算写植オペレーターから移動があったはずの職種“DTPオペレーター”も含まれますが、代替可能性が高い100種の職業には入っていません。

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