124. 変形(長体)の限度
- 2016年04月14日
- 組版・DTP
見出しや表組で一定のスペースに文字を入れたいときに、長体(変形)を使うことがあります。「一般的に、変形(長体)の限度はどのくらいですか?」、という質問をいただくこともあります。
【回答1】
電算写植の時代の長体は、長体1(90%)、長体2(80%)、長体3(70%)の3つのみでした。可読性を保持するためには80%くらいまでがよいのでしょう。線と線の隙間が狭くなりすぎたりしないものであれば70%もありでしょうか。一般的には、このあたりまでが無難な選択でしょう。
長1(90%)
長2(80%)
長3(70%)
【回答2】
モリサワの“UD新ゴ コンデンス”では、初めから変形されたフォントとして90・80・70・60・50と最大50%まで用意されています。商品パッケージなど、スペースが限られる場合は、50%まで使うこともあるのでしょう。細いウェイトであれば、少し複雑な漢字であっても、可読性は保たれます。
60%
50%
また、太いフォントでは、偏(へん)と旁(つくり)ともに縦線が多い漢字は、変形を強くすると可読性が損なわれていくようです(数字、ローマ字、カタカナでも、同様に注意が必要です)。
例: 変形50%
変形45%
変形40%
字間を詰めると、さらに可読性が落ちる要因となります。
客観的な情報としては、こんな感じでしょうか?
どのあたりを変形の限度とするのか、最終的な判断は、見た目のバランス(表組等で、正体と変形80%が並ぶと違和感がある)や、作る方の主観だとは思います。
正体 | |
変形80% |
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