127. 小さく見える「あ」(太ミンA101)
- 2016年05月17日
- その他
2000年に初版が出版されたA5判の書籍をQuarkXPressからInDesignに変換する際に、本文書体“太ミンA101”の「あ」が、なんだか小さく見えてしまいました(見慣れていないだけ!?)。使用フォントは原本がCIDで、変換後はOpenTypeとしましたが、CIDでも小さく見えていたようで、フォントのフォーマットの違いではなさそうです。
上下にくる文字にもよりますが、「お」や「に」や「の」等のひらがなと並ぶと、一回り小さいサイズに見えます。字面の横幅が他の仮名より若干小さめなせいか、タテ組みのとき、より小さく見えるように感じます。
◆太ミンA101[使用見本](モリサワのHP)
http://morisawa-resources.s3.amazonaws.com/uploads/ung/font_family/sample_file/64/FutoMinA101_2.pdf
他のフォントでも、「あ」が小さめに見えるものはあるのか、昔のフォントガイド*の「明朝体による組見本」27書体の平仮名が各ヨコ1列で並べて印刷されていたもので見てみました。S明朝体(ニィス)や游築五号仮名(SCREEN)の「あ」は、少し横幅が狭いデザインのように見えましたが、タテ組み見本組のページでは、それほど小さくは見えませんでした。タテ組み本文で小さ目にみえる「あ」というのは、“太ミンA101”に独特な特徴なのかもしれませんね。
*「和文フォントガイド for Macintosh」玄光社, p.129, 2000年.
DTPの黎明期(1990年代)頃には、モリサワの「リュウミンL-KL」「中ゴシックBBB」「太ミンA101」「太ゴB101」「じゅん101」で基本5書体とされ、PostScriptプリンタ等に標準で搭載されていました(その昔は、プリンタ側にフォントがないと出力ができなかったんです!!)。名前に反して、“それほど太くはない”といわれながら使われ続けてきた“太ミンA101”です。
2015年10月に、Adobe Creative Cloudの「Typekit」でモリサワおよびタイプバンクの20書体が使えるようになりました。そこには、“太ミンA101”も含まれています。これからも本文書体の1つとして使われていくのでしょうか。
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