131. 書籍でのQRコードのサイズ


専門書や学習参考書の書籍に、QRコードを掲載する案件がいくつかありました。書籍のQRコードは、文章や写真では足りないものを、Web上の動画や音声で補完するためのものです。QRコードを作るツールは色々ありますが、組版・DTPではビットマップ画像・RGBになるものではなく、パス・墨単色になるものの方が、解像度やカラーモードの心配をしなくていいので便利です。組版の現場では、「バーコードROBO4」という、Adobe Illustratorのプラグインを使っています。

QRコードの技術的な解説は少し難しく、「どのくらいのサイズなら読み取りに問題ないか」という質問に、今までは簡潔に答えることができないでいました。おおざっぱに言えば、書籍では、「最低11mm」~「最適15mm」くらいでしょうか。本当は、格納文字数等によって変わるものであり、読み取るカメラやアプリの性能にも左右されるものであるのですが。

パスになっているQRコードは縮小が可能ですが、縮小しすぎると、スマホのカメラ&アプリでうまく読み取れないものになってしまいます。正式なQRコードのサイズは、ひとつひとつのマス(=セルのサイズで示されます。

セルとは

セルサイズの目安は、

携帯電話会(docomoのFAQでは、「0.28mm」以上であることが読み取るための条件。
バーコード作成会社は、「0.3mm」以上。または、「0.35mm(できれば「0.4mm」以上を推奨。

◆セルサイズの簡単な計算の例
URLのみのQRコードで10mm(余白を除くとしている場合のセルサイズ

・42字まで:バージョン(29×29セル)→ 10mm÷29セル=約0.34mm
・62字まで:バージョン(33×33セル)→ 10mm÷33セル=約0.3mm
・84字まで:バージョン(37×37セル)→ 10mm÷37セル=約0.27mm
※それぞれ、誤り訂正レベルを一般的に使うM(15%)とした場(汚れなどに対応するために、誤り訂正レベルを上げると、入る文字数が少なくなる

書籍にQRコードを載せる場合は、推奨されるサイズより小さくせざるをえないこともありそうです。実機でのテスト結果と合わせて、サイズを決めることが必要になります。現在使われているスマートフォンは、カメラの性能やアプリによって読み取り精度も良いもの悪いもの様々なようです。スマホでQRコードを読み込んでURLをアプリで開くことを想定している場合は、セルサイズは少しでも大きめにしておいた方が無難なのかもしれません。

QRコードの全幅が10mm前後のものでは、「+1mm」、「-1mm」の違いでも、セルのサイズが以下のようになり、読み取り精度が微妙に変わることもあるようです。

62字まで:バージョン4(33×33セル) [-1mm]   9mm÷33セル 
 =約0.27mm 
62字まで:バージョン4(33×33セル)        10mm÷33セル 
 =約0.3mm 
62字まで:バージョン4(33×33セル) [+1mm]  11mm÷33セル 
 =約0.33mm 

QRコードの全幅サイズを決めるときには、合わせて4セル分以上の余白も考慮する必要があります。バージョン(33×33セルで全幅10mmの約0.3mmのセルサイズのQRコードの場合は、約0.3mm×4セル=約1.2mm以上の余白が必要です。

~おまけ~
QRコードの読み取り検査は、スマホのカメラで行います。読み取りがあまりうまくないアプリを使うと意外に反応が遅く、多くのQRコードを検査するのにストレスがありました。そんな時、使わなくなったS社製のガラケーが役に立ちました。正しいQRコードが貼り込まれているかを、大量に確認するのに、ボタンの操作のみで片手でスイスイと検査を進められました。古いものは性能が低い、ということではないようです。
【結論】貼り込まれているQRコードが正しいかどうかはガラケーで、読み取り精度のテストでは、少し古い・またはカメラの性能がそれほど高くないスマホで試すのがよいのでしょう。

Pocket

※このコラムおよび、コラム中の文章、画像、動画の無断転載および複製等の行為はご遠慮ください。

  • サイト内検索

  •  
  • カテゴリー

  • アーカイブ