132. 赤字を後ろから直す


ページ物のDTPの作業で、校正戻りの赤字をきっちり直すことは、集中力が必要で時間のかかる作業です。いかに、丁寧に、間違いなく正確に直していくかを考えた先人のノウハウのひとつに、「赤字を後ろから直していく」というものがあります。

赤字を後ろから直していくと、赤字を直すことで文字や行の増減があっても、それが影響するのは、その直した箇所の後ろのみとなります。後ろから順番に赤字を直していくときに、(前の修正対象となる文字列の位置は校正紙と同一なので、「どこを」直すかを誤認することが減るというメリットがあります。

以下の図の赤い部分を修正する際に、文章の流れのとおりに前から直すと、後ろの方を直す時には、直す対象となる部分は移動しています。しかし、後ろの赤字から直していくと、直した後のみがずれていくので、次に直す対象となる前の部分は校正紙の同じ位置のままで、間違って他の箇(違う行の同じ単語の部分等を修正してしまうリスクが少なくなります。

 赤字  前から直すと?
 後ろから直すと!
 

このやり方を、DTPの仕事を始めた早い時期に教えられ・身に着けた作業者は、常にこのように作業するメリットを享受して、正確に直しの仕事ができるようになります。特に、校正の赤字の箇所や量が尋常でない案件では、効果を発揮します。慣れないと、少し敷居が高く感じるやり方ではありますが、知っていて損はない、やってみる価値があるものかもしれません。

~つぶやき~

将来、ディープラーニング系の人工知能が校正の直しをするようになるときは、直す箇所を識別しやすい、この後ろから直す方式をとるのでしょうか。

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