28. 禁則処理―弱い禁則、強い禁則
- 2014年03月07日
- 組版・DTP
禁則処理は、ワープロソフトでも行われる一般的な組版処理です。InDesignで組版する場合は、文章のかたまりを構成する先頭や末尾の文字・約物がそれ1文字でポツンと単独で異なる行に離れてしまうことや、前の文字とセットで発音される小書きのかなや音引きの分離を避けるために、前の1文字を道連れに追い出し、または約物の前後を詰めて追い込みの処理を行うものです。
● 行頭にきてはいけない文字・約物(行頭禁則) | |
句読点類 | 、 。 , . |
括弧類(閉じ) | ) 」 ] 〉 ” 等 |
その他約物・記号 | ・ : ; ! ? 々 ゝ ー(音引き) % |
小書きのかな | っ ゃ ゅ ょ |
● 行末にきてはいけない文字・約物(行末禁則) | |
括弧類(起こし) | ( 「 [ 〈 “ 等 |
組版の現場では、InDesignを使う場合、「弱い禁則」「強い禁則」のどちらかを選んで組版をしています(上の例の色文字:「強い」の場合にのみ禁則処理の対象になるもの)。とはいえ、事前にどのような禁則処理をするのか具体的な指示をいただくことはあまりありませんので、お客様のそれまでの赤字の傾向を鑑みつつ、組版側で弱い・強いを決めることが多いようです。また、デザイナーさんがInDesignで段落スタイル・文字スタイル等を設定されたレイアウトフォーマットが支給される場合は、その設定のまま組版を始めます。
「弱い」と「強い」の違いは、おおざっぱに言うと、「強い」にすると小書きのかな「っ」「ゃゅょ」や音引き「ー」も行頭禁則処理の対象となることです。
縦組みの場合は、音引き・小書きのかなが行頭に来ることを許容し、きちっとベタ組にならない・文字が横方向に揃わない(禁則処理による追い出しで文字間が空くことや、追い込みで約物の後が詰まる)ことの方が嫌われるのか「弱い」で組むことも結構あります。また、カタログ等で和文・欧文混植で組まれるものでは行頭に音引き・小書きのかなが来ることを嫌って「強い」にすることがあります。
禁則処理については、「弱い禁則」か「強い禁則」で指示すると、どのような禁則処理を望まれているのか組版の現場に伝わります。
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