172. 小学生向け算数教材のルビふり
- 2017年07月28日
- その他
小学生向け算数教材の文章にルビ(ふりがな)をふる依頼がありました。小学生用の教科書や学習参考書では、学年別の配当漢字表に基づき使う漢字が決められます。
一般的な書籍では、ルビを付ける漢字の範囲は、読むことに慣れていない方が多いと思われる「常用漢字
① | ルビを付ける漢字は、主にその学年で習う漢字 | |
② | 後の学年で習う予定の、まだ習っていない漢字はひらがなに開く | |
③ | 前の学年で習った(もう覚えているはずの)漢字にはルビを付けない |
ただし、熟語については、前の学年で学習済みの漢字が含まれていても、以下のように、すべての親文字にルビを付ける、とすることもあります。
〔例〕 | 3年生の教材で | |
学習 | (学:1年、習:3年) | |
商店 | (商:3年、店:2年) | |
代金 | (代:3年、金:1年) |
ひらがなに開いたりルビを付けたりしていると、普段は見ることのない「かな+漢字」の表記になる熟語もあり、少し戸惑います。たし算・ひき算・ひっ算・かけ算などのかな漢字混じりの表記は、学参では見慣れたものですが、こんなものも出てきます(2年生の例)。
野さい 時こく 道ろ
黒ばん 学しゅう 方がん紙
しん長 だい金 ちょう点
一りん車 自どう車
参考:『新編 新しい算数2 上・下』東京書籍、平成28年度
初出にのみルビを付ける方式をとると、「野さい」となるところもでてきます。表記のルールの詳細を知らないと、本当にこの表記でよいのかなーとなってしまいます。同じように、低学年の小学生は、自分の名前を書くときに、習った漢字のみ使うという習慣があります。例えば、“福音太郎”くんは、2年生までの漢字だと“ふく音太ろう”となります。大人が見ると変な表記ですが、慣れの問題なのかもしれません。
~おまけ~
ワープロソフトの“一太郎”には、ルビ(ふりがな)をふる機能があります。その中に、学年別の配当漢字に応じてルビをふる機能があり、メニューをよくみると、2年生の漢字のみにルビをふるというものはなく、「小学二年以上で習う漢字にふりがなをふります」から三年以上、四年以上、五年以上、六年以上と、各学年以上で習う漢字にふりがなをふるメニューとなっています。ただし、熟語は1字でも対象範囲の漢字が含まれていると、語句の全体にルビがふられるようです。また、ルビをふりたい漢字の範囲(2年で習う漢字のみにルビ付け等)によっては、対象学年より上の学年で習う漢字を事前にひらがなに開いておくなどの準備が必要になります。
ルビをふる漢字の範囲として、「常用漢字以外の漢字にふりがなをふります」「すべての漢字に……」もあり、一般的な書籍のルビふりにも使えます。組版の現場でも、索引などで読み付け&ソートが必要な場面等で、一太郎のふりがなをふる機能「すべての漢字に……」を使っていました。一太郎でルビをふって、ルビを親文字の後ろにパーレンで囲って挿入する「ふりがなをテキスト形式で保存する」機能で書き出した後、スクリプト等で索引項目(親文字)とふりがなを分ける等して、読みの項目を辞書順ソートのキーにすることもありました。
参考:学年に合わせた「ふりがな」で 教材を作ろう〔PDF〕(ジャストシステム)
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