30. カラープルーフ・色校正の名称
- 2014年03月24日
- 校正
各社のWebサイトを見ると、必ずしも統一した名称では表記されていないようですが、カラープルーフ、色校正の名称は色々あります。また、時代とともにその中身が変わってきたものもあり、各地域・世代間での相互理解が必要です。
◆ Aカラー
カラーレーザープリンタから出力されるカラープルーフのことを“今でも”「Aカラー」と呼んでいる出版社様もあるようです。トナーを使ったカラーレーザープリンタやオンデマンド印刷機から出力されるものは、普通にカラープリンタまたはプリンタプルーフと呼ばれています。
【昔話】
組版の現場でこのプリンター(富士ゼロックスのデジタル複写機・A color)を使っていたのは、かれこれ十数年前くらいでしょうか。当初、他メーカーの複写機をカラープリンタとして使用していましたがプリント品質がよろしくなく、2代目として当時高いプリント品質で注目されていたこのA colorを導入しました(現在は、5代目のカラーオンデマンド印刷機を使用)。
◆ 簡易校正
最近、発注書・見積依頼書等で、プリンタプルーフの意味で「簡易校正」が使われているものを見かけるようになりモヤモヤしていましたが、各社のWebサイトではプリンタプルーフ、インクジェットプリンタ、デジタルコンセンサス等の本機校正以外のものを簡易校正としているところもあり、そうなのか、という感じです。
【昔話】
CMYKの製版フィルムから刷版を焼いていた時代は(今でもこの工程は存在しますが)、校正といえば製版フィルムから色校正用の版を起こして本紙で平台校正をとるのが一般的でした。版を起こさずに簡易的に製版フィルムから印画紙に焼き付けて色校正とするコンセンサス、ファインチェッカーの「簡易校正」が下版前の時間のないときには便利なものでした。この時代には、この簡易校正のことを機械の名前で「コンセンサス」「コンセ」と呼んでいました。
◆ デジコン
デジタルコンセンサスプレミアム(デジコンプレミアム)から専用紙で出力される校正紙の名称。フィルム製版時代の簡易校正機・コンセンサスと同じメーカーのもの。オフセット印刷と同様に網点で出力されることから、モアレの有無も見ることができる。
「要デジコン」というハンコを押された校正紙をみたこともあります。
◆ DDCP
DDCP(ディー・ディー・シー・ピー)とは「ダイレクト・デジタル・カラー・プルーフィング」の略。DTPの初期、DTPデータ→製版用CMYKフィルム出力→刷版という工程をとる仕事もかなり残っていたころに、デジタルデータから直接カラープルーフ、CTP出力を行うフローをメーカーが提案する際によく使われていた用語。RIP済のデータで出力するデジコン、インクジェットプリンタを指すことが多いのでしょうか。一般的に、コート系の用紙で印刷する場合は、カラーマネジメントされたインクジェットのDDCPを選択することが納期・コスト面で有利となります。
◆ 平台校正(本紙校正)
色校正といえば、印刷用インキを使って本紙に平台の色校正機で刷るもの、という時代が長く続きました。その後、デジタルプルーファからの簡易校正が登場しましたが、東京・文京区の地にある組版の現場では今でも色校正用にCTPを出力し平台校正で色校正をとるということも普通に行っています。特色を使う書籍の付物・2cの実用書の本文、またプロセス4cでもコート紙と印刷色の再現性が大きく異なる用紙のもの等では、「平台校正」が必須のものでありつづけています。色校正用の用紙を発注したり、CTP・インキを用意したりと手間・時間・コストのかかる方法ですが、オフセット印刷前の試し刷り・印刷見本として、今でも出版社様からご指定が多いものとなっています。
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