31. フォントによって字体が変わる「葛」
- 2014年03月28日
- 用字用語
このところ組版の仕事で、頻繁に葛飾区・葛藤の を にする赤字を校正しています。 |
Windows Vistaがでた頃(2007年)に、フォントメーカーから字体の変更についての詳細な冊子が配布されましたが、Windows OSのバージョンによって異なる字体を、そのまま使い分けるという視点で、どのOSで作ったデータかを伝達する「コミュニケーションの重要性」が示されていました。しかし、実際の組版の現場では、入稿するWord等のテキストがどのOSで入力されたものかという情報をいただくことはあまりなく、多くは、校正・校閲の赤字で修正するものでした。フォント・文字のことは、DTPの中でもややこしいものと受け取られることが多いのか、著者・編集者・デザイナーの方々には、浸透しなかったのかもしれません。
Windows XPのサポートが終了する2014年4月前ギリギリで、コラム担当のパソコンもWindows 7になり、晴れてJIS2004字形で仕事ができると思っていましたが、Wordの画面表示では でも、複合機で出力すると となりました? 使用しているフォントは「MS 明朝」。プリンタのプロパティ(設定)のフォントの設定をみると、「TrueTypeフォントをプリンタフォントで置き換える」にチェックが入っていました(MS UI Gothic等、プリンタに置き換えられるフォントがないものは、各パソコンからフォントデータが送られてプリントされるので、 がでます)。普段、管理の仕事をしているときは、複合機に搭載されている「明朝」のプリンタフォントのことを意識することはほとんどありませんが、このようなことは、いろいろな職場でも起こっているのだろうなと想像します。 |
さて、DTPで葛を でなく (正字と言われているもの)の字体としたい場合は、組版指定の際に、どのように指示するとよいのでしょうか。組版の現場には、事前にそのような指示をいただくことはほとんどないようですが、メジャーな書体であれば、JIS2004字形対応のOpenTypeフォントを指示するとよいのでしょう。モリサワでは、Pr6Nフォントがそれにあたります。 |
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