36. 単ページ(1ページごと1ファイル)のPDF
- 2014年05月02日
- その他
書籍・雑誌のページ物の組版で、「単ページのPDF」を納品データとして指定されることがあります。1ページごと1ファイルのPDFを指定する理由*は、後工程(プリフライト、データ面付け)での都合があるようです。組版の現場でも、安定して出力する手法の一つとして場面に応じて単ページのPDFを使っています。
*雑誌広告等でプリフライト等の都合上、複数ページのPDFを禁止しているところもあるようです。
組版の現場の後工程、出力の現場の出力前検査では、出力時のトラブルを発見することがあります。以下のようなトラブルを回避する対処療法的な方法として、この単ページのPDFがとりあえずの解決策となることがあります。
・マスターページで見開きにまたがって作られている罫線等のオブジェクトが、消えてしまった(見開きで出力された見本のカラープルーフと同じように出力されなかった)。
・マスターページにあったオブジェクトを一部削除したページで、削除されていたオブジェクトが出てきてしまった(見本のカラープルーフと同じように出力されなかった)。
・合成フォントを使用した部分で文字化けが発生した。
上記の出力トラブルは、InDesignから直接PDFを複数ページで書き出す時に起きているものです。これを、不具合のあった該当ページのみを単ページのPDFで書き出すと、不具合が再現しない(=見本のカラープルーフどおりに出力される)ことがあります。
複数ページで書き出すPDFでは不具合が出て、1ページごと1ファイルで書き出す単ページのPDFでは正常というわけです。それならば、不具合が起きた同じ条件の仕事をする場合は、予防策としてInDesignから直接PDFを書き出す際、スクリプトで1ページごとに1ファイルとなるようにPDFを書き出して、面付けの必要に応じて、1ページごとのPDFをつなげて複数ページのPDFにする、ということも行います。
この「単ページ」という言葉ですが、一般的には「見開き」に対する言葉として使われることが多いので、「複数ページ」に対する意味で使う場合は、「1ページごと1ファイルのPDF」等と指示したほうが安心です。
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