189.“4線”を含む欧文書体「UDデジタル教科書体 欧文」
- 2018年05月07日
- その他
MORISAWA news no.156(2018.3)に、「UDデジタル教科書体」がMORISAWA PASSPORTに搭載!という記事がありました。その記事の、計9書体の欧文書体の組見本の末尾に、アルファベットの書き練習で使われる“4線”も、文字として入っているところに目が行きました。
《組見本》
○正体欧文:4線比率(5:9:5)
UDDigiKyoLatin Regular
* ǀ(縦線のキー:Shift+¥)で4線を入力。
○イタリック体欧文:4線比率(5:9:5)
UDDigiKyoItalic Regular
小文字のバリエーションがあり、用途に応じて字形パレットより切替が可能。
○書き学習用欧文:4線比率(5:6:5)
UDDigiKyoWriting Regular
「UDデジタル教科書体 欧文」の正体欧文「UDDigiKyoLatin」、イタリック体欧文「UDDigiKyoItalic」は、2020年度からの小学校の学習指導要領に合わせて、新たに出された文部科学省の英語教材の字形**に準拠して作成された書体とのこと。また、書き学習用欧文「UDDigiKyoWriting」は教科書・教材メーカや教職員のヒヤリングにより大文字・小文字の学習および指導がしやすいように文部科学省の英語教材の4線比率(5:9:5)から(5:6:5)にリデザインした書き学習用の書体とのことです。等幅に近いものにしたいという要望にも対応したのでしょうか。
** 文部科学省HPに、平成29年12月8日公表された「新学習指導要領に対応した小学校外国語教育新教材について」の、3~6年生用の教材やワークシートのサンプルPDFがありました。それの3年・5年・6年生用のワークシートで、比率5:9:5の4線(天地サイズ11.8mm程度、ベースラインは水色)が見られました。英語圏で使われる教材に近いイメージのものなのでしょうか。
参考: 新学習指導要領に対応した小学校外国語教育新教材について(文部科学省;教材等については、ダウンロードしたファイルを転載するなどは禁止する、と注意書きがあります)
いままでのアルファベット学習は、等幅の4線でブロック体のフォントを使用したものが多かったはずですが、これから小学校用は、5:9:5の4線とそれに合うフォントも選択肢のひとつとなるのでしょう。
「UDデジタル教科書体」というフォント名ですが、タイプバンクのカタログでは、各書体の使用用途として、タブレットや電子黒板だけでなく、一般の教科書、拡大教科書の使用にも適しているとしています。2019年の学参組版業界の繁忙年の前に、試しておいた方がよいかもしれません。
~おまけ~
2017年10月に「Windows 10 Fall Creators Update」(Windows 10向けの無償アップデート)で「UDデジタル教科書体」TrueType版のRとBの2書体(1ウェイトにつき、等幅、P付き、K付きのフォントが提供)がOS標準フォントとして利用できるようになっています。学校の先生が作る教材でも、このフォントが使われるようになっているのでしょうか。
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