190. 細く見えるカタカナの“ニ”(丸フォークB)
- 2018年05月08日
- その他
《丸フォークB》
内校正で小見出しの「トレーニング」の“ニ”が、前後の文字“レ”や“ン”と比べてかなり細く見え、違和感(漢数字の“二”なのか?)があり、カタカナの“ニ”に、あるいは、フォント正しく、と訂正の指示をしたのですが、作業者から前後のフォントと同じで、カタカナの“ニ”です、と言われました。フォントの個性ゆえのものでした。
「丸フォーク」は、「フォーク」をもとに、先端を丸く処理した書体とのこと。明朝体のような細い横画と太い縦画が特徴のフォントです。R・M・B・Hの4ウェイトが揃っています。
“一般的な丸ゴシック系の書体やデザイン書体と比べ、よりまじめに内容を伝えることができるため、商品パッケージ・広告・テレビテロップなど、正確な情報を少しキュートに伝えたい時などに最適です”(MORISAWA news no.148;2017.7の「フォントあ・ら・かると 丸フォーク」より)というように、使われる機会も多そうなフォントです。
丸フォークBの横画をもつカタカナと漢字をいくつか並べてみます。
スマートな横画のみで構成されるカタカナの“ニ”ですが、左右にくる文字によっても見える印象は変わるようです。“ニュース”はなんとかなじんで見えるでしょうか。“ニンニク”のように、太い斜めの線をもつ字が横に並ぶと、相対的に“ニ”が細く見えてしまいます。同じ横画のみの字“一”や“二”でも、前後に細い横画と太い縦画の両方を含む漢字と並ぶと、それほど違和感はありません。
《丸フォークB》
もし、校正で「トレーニング」の“ニ”に対して、「フォント正しく」等の赤字が入ったら、フォントのデザインコンセプトをはずれますが、“ニ”の横画を音引き(“―”)よりはやや太く(縦画や斜の線に近づけるよう太く)して、前後となじませる必要があるかもしれません(“ニ”をひとつ上のウエイトHにしても、それほど太くならないようなので)。
参考:丸フォークB(モリサワ書体見本):このサイトでは、Webフォントを使って好きな文章を試すことができます。
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