192. 波ダッシュのヨコとタテ
- 2018年05月29日
- 組版・DTP
学参もので、英文につながるタテ組みの全角の波ダッシュに、「」のような修正指示が入っていました。パッと見では、何をどのように修正すればよいのかが、よく理解できませんでした。いまさらですが、波ダッシュは、ヨコ書き用とタテ書き用で文字の形(グリフ)が違い、ヨコ書き用の形にする、ということでした。
・ヨコ書き用 ~ (上がって・下がる)
・タテ書き用 (下がって・上がる:欧文のベースライン側から見ると)
タテ書き用の“”は、ヨコ書き用の“〜”を90度回転したものではない、ということです。なぜこのようになったのか、歴史的な背景はよくわかりませんが、タテ書き用の方では、右利きの人が書きやすい方の形が選ばれた、ということでしょうか。
これが問題となるのは、タテ組みの柱文で“”を使うと、同じページの見出しとしてあるヨコ書き用の波ダッシュ(~)とは、形が変わってしまうのを、気にされる方がいるということです。→ここでは、ヨコ組みで組んだ文字ボックス自体を90度回転して対応しました。
ヨコ書き用とタテ書き用で文字の形(グリフ)が異なるものは、“ー”(音引き)等いくつもありますが、組版ソフトが自動的に処理してくれるもので、普段はタテとヨコで使い分けを意識することはありません。
さらに、“波ダッシュ”には、このタテ書き用の波ダッシュが元になった?、込み入った事情、Unicodeでの「全角チルダ問題」というものもあるそうです。
~おまけ~
印刷されたタテ組みの波ダッシュが、今のタテ書き用の字形とは異なる、「上がって・下がる」形のものを見つけました(「校正技術 上巻」日本エディタースクール、昭和47年、p.81、約物の名称)。活版印刷の時代では、ヨコ書き用とタテ書き用で同じ活字(または母型)を使うなどということがあって、そうなったのでしょうか?
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