193. 「*.docx」と「*.doc」の違い
- 2018年06月13日
- その他
組版の素材として入稿してくるMicrosoft Wordのファイルの形式は、今では「*.docx」(ドックエックス)が主流です。ただし、古いWord 97-2003文書の「*.doc」も、ときどき見かけます。標準のWord文書は「*.docx」であるWord 2013(Windows 7)でも、名前を付けて保存をすれば、古いファイル形式の「*.doc」にすることも可能ではあります。
このファイル形式(拡張子)の違いについて、DTPや校正・編集の現場では、どんなことを知っているとよいのでしょうか。
◆「*.docx」から画像ファイルを一括で取り出す
「*.docx」ファイルは、XMLベースの形式&ZIPの圧縮技術で保存されているものなので、次のように画像を1つ1つのファイルとして取り出す手法が知られています。
・「*.docx」を解凍する
.docxファイルを選択した状態で、右クリックのメニュー等で解凍ソフトを起動して解凍します。拡張子.docxを.zipと変更しておくと、ダブルクリックで解凍できます。
⇒元のwordファイル名のフォルダ内の、wordフォルダ-mediaフォルダに1つずつ画像がファイル化されます。
ただし、Word上でトリミングしているものは、貼り込まれた元の画像がそのまま画像ファイル化されます。
◆フォントが違う(=字形が違う)
原稿作成時(画面およびプリンタ)に表示されていた(であろう)漢字の字形が想定できます。それが、DTPで組版する際の初校では、使用フォント次第で原稿と同じ字形になるのか、違うものになるのかを想定しつつ校正が行なえます。
・「*.docx」:JIS2004字形〔例〕(“人”):Nフォントを使えば「原稿=DTP」。
Nが付かないフォントを使うと「原稿≠DTP」となる字がでてくる。校正で字形の変更の指示が入るかも。
・「*.doc」:JIS90字形〔例〕(“ヒ”):Nが付かないフォントを使えば「原稿=DTP」。
Nフォントを使えば「原稿≠DTP」となるが、JIS2004字形になるのが正しいとする編集方針もあるでしょう。
◆InDesignに読み込むときに「*.docx」での不具合
読み込むInDesignのバージョンによっては(CS4やCS5の時代?)、「*.docx」の図版が貼り込まれた行のテキストの一部が消えてしまう、ルビ付きの親文字ごと消えてしまう等の事例が過去にありました。そんな不具合を回避するために、事前に文字直し等をする場合は「*.doc」形式にしておくこともあります。
~おまけ~
Office 2016から、標準フォントが「游ゴシック」と「游明朝」になりました。入稿データでも、このフォントが使われているのを時々見かけます。まだ、古いWindows 7・Office 2013等を使用している方々への便宜として、Microsoftのダウンロードセンターで、無料で「游ゴシック 游明朝フォントパック」が提供されています。
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