194. 伸ばし棒!?


のばし棒

組版の現場にて、ヤングジェネレーションの営業担当が発す「のばし棒という言葉に、反応できませんでした。それは何? どれのこと? えっ、それ音引おんびというんだよ、とエラそうに教えてしまいました。

しかし、念のため後で検索してみると、音引きの説明「俗に伸ばし棒とも呼ばれるとあちこちに書いてあります。社内で聞いてみても、若手でそのように言っていた、という人もいるようでした。

一般的には長音ちょうおん(長音符というのが正式な呼び名でしょうか。JIS Z 8208:2007の印刷校正記号では、紛らわしい文字・記号を指示するものとして、片仮名「オンビキという記号があります。

これからは、ときど「のばし棒と言ってみましょうか。

~おまけ~
昔は、コンピューターのマニュアル等では、3音以上のカタカナ語は末尾の長音(音引きを付けな(省略する表記が一般的でしたが、いまどきは、一般ユーザー向けの文書等では、付ける方を多く見かけるようになっています。

例:
《昔長音を付けない     《今長音を付ける
ドライバ ドライバー
フォルダ フォルダー
プリンタ プリンター
ユーザ ユーザー

長音を付けない表記は、JIS規(JIS Z8301「外来語の表記に語尾の長音符号を省く場合の原則にのっとったものであること。省略表記することにより、限りあるコンピューターのメモリやディスクの使用を節約する意図もあったと語り継がれています。

それが、21世紀になり、いつの頃からかパソコン上でOSが表示する用語は「プリンターなどと、末尾の音引きを付ける・・・方になっています。日々パソコン等を使う人は、末尾に音引きが付く単語を、見慣れることになりました。

振り返ってみると、約10年前の、以下のマイクロソフトのリリースが出された2008年が変換点であったのかもれません。国語審議会の報告を基に告示され「外来語の表記(内閣告示第二号;1991年6月28(内閣告示第二号;1991年6月28日をベースにしたルールに原則準拠することにした、としています。

マイクロソフト製品ならびにサービスにおける外来語カタカナ用語末尾の長音表記の変更につい(窓の杜News:08/07/25;オリジナルの文書はリンク先消失)

「ルール変更の理由とメリットとして、以下の4つが挙げられていま(上記のマイクロソフト株式会社の文書の原文にアクセスできなくなっているので、引用しておきます)

   コンピューターが広範に普及するにつれ、末尾の長音を省略する傾向の強い工業系、自然科学系の表記に対するユーザーの違和感が増大しています。市場のニーズとして、より発音に近い表記が求められています。
   ハード/ソフト上の制約が技術進歩とともに解消され、より自然な表記が可能になってきています。
   読み上げソフト等、アクセシビリティ向上においても自然な発音が求められており、これが可能となります。
   採用ルールは新聞・雑誌やTVで原則とされているほか、同業界内の多くのメーカーで採用されており、ユーザーフレンドリーです。

しかし、今で「末尾の音引きを付けない・・・・表記をとる印刷物もあります。特定の学術分野や業界によっては、むかしむかしの話、という訳でもないようです。あえて付けない表記とすることを、指示・明示した方がよいこともありそうです。

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