209. マスターページのオブジェクトがダブって出現:オーバーライドによる不具合?(InDesign CS6)
- 2018年11月01日
- その他
[1]は、【例題】のタイトルとセットで、常に同じ位置から始まり、マスターページ上の位置からの移動はない。
[2]は、[1]の文字量(行数)により、始まる位置が変わるため、ドキュメントページ上で、元の位置から1行下に移動されている。
語学系書籍の、もともとマスターページにあったオブジェクトを編集(削除or移動)した部分で、画面上には見えていないオブジェクトが、PDFを1ファイル丸々の複数ページで書き出すと、ダブって出現してしまう(オバケ!?)という現象がありました。入稿したDTPデータが、どのように作られたものか具体的な手順は分かりませんが、出力見本用として支給されたPDFと、出力の現場でInDesign CS6から印刷用に書き出したPDFで、同じ現象となっていました。なにが原因となっていそうなのか調べてみました。
ダブって(二重に)出てしまっていたのは、マスターページ上に配置された、見開き記事の全左ページで使われる項目番号の背景になるフキダシのような形のオブジェクトです。マスターページに配置された位置からは、文章量の増減により、1行下に配置されたものが正しいのですが、PDFファイルにする際にのみ、元々マスターページにあった位置に、二重に出現してしまうという不具合です(画面上でも見えず・選択できず、プリンター出力の際にも出現しません:正常)。しかし、なぜか不具合のあったページのみ1ページ1ファイルでPDFを書き出すと、プリンター出力と同様に正常(不具合が再現しない)に書き出せた、とのことでした。
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調べている過程で、マスターページのオブジェクトを編集すること(=オーバーライド)が、不具合の原因になっているのでは?、と感じました。組版の作業でも、同じ体裁が見開き単位で続くような案件では、頻繁に行われる作業ではあるのでしょう。ページを移動する等すると、オーバーライドしたオブジェクトが、ダブって出現する、ということもあるようです。
レイアウトソフトに機能として用意されているものとはいえ、色々な条件(システム系?)によっては、きちんと機能しないことが稀に起こりうる不確実性を排除するために、「マスターオブジェクトはいじらない」という、ルールで運用されている制作会社さんもあるようです。しかし、便利なものは使いたいのが人情というもの。思いがけない不具合にも対応できるよう、基本に忠実に、校了後・RIP後の校正も手抜きをせずに行うことが大事、ということでしょうか。
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