210. 直径を表すギリシャ小文字φの字形
- 2018年11月06日
- 用字用語
部品メーカー様のカタログにある図面の、直径を表すマル○に斜線/の「φ」(ギリシャ文字小文字のファイ)のみを、あるフォントにする指示がありました。過去にもこの記号の修正指示を何度か見かけたことがあるような気がします。修正の指示が多い理由があるのか調べてみました。
◆直径を表す記号は、元々○の中央に/を引いたもので、ギリシャ小文字のファイ(φ)はその代用。
CADで使われる直径記号は、正円に斜線の記号(⌀;U+2300)です。「まる」と読むそうです。○と書かないのは、数字のゼロと誤認を避けるため。今時のユニコードを使えるDTPでは、この記号を使うことも不可能ではないはずですが、この記号が収録されているフォントが少ないこともあり、伝統的に使われてきた代用のファイ(φ)を使うようです。
◆ギリシャ小文字のファイ(φ)には、2種類の字形がある。
直径記号の代用として使うには、一筆の字形でなく、マルに斜線が貫通した字形でないと、都合が悪くなります。ただし、できるだけ製図図面で見なれた形にしたいということで、丸の形と斜線の角度が適度なフォントが指定されるということなのでしょう。
~おまけ~
・ | 似た文字で、アルファベットのOに斜線の、大文字Ø・小文字øというものもあります。デンマーク語、ノルウェー語等で使われる文字とのこと。フォントによって、幅が狭く数字の0に近いもの、幅が広く○に近いもの色々ありますが、こちらを直径記号の代用としては使うのは誤りのようです(ダーシ“―”であるべきところに、音引き“ー”を使うようなこと?)。 |
・ | また、直径記号とほぼ同じグリフに見える、数学で使う空集合の記号(∅;U+2205)というものもありますが、別のものです。 |
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