225. 令のデザイン:縦棒の位置
- 2019年04月25日
- 組版・DTP
新元号・令和。発表時の墨書「令」の字形の印象が強烈で、令という字のイメージが変わりました。まず、個人的な感覚では、教科書体や学参書体の「ヽ+マ」の字形は、もはや令和の令には見えません。やはりセンターを貫く、直線が必要に思います。書道家の方々には、令を見栄え良く書くコツとして、縦のラインでやね(ひとがしら)と縦の棒を一直線にする、という考え方があるようです。
一方、印刷文字(フォント)の明朝体のデザインをいくつか見ると、やねの開き具合や、縦棒の位置の取り方等の違いで、いくつかのデザインの系統があるように見えます。やねの左右センター寄りに縦棒を置くデザイン、縦棒はやや左寄りで4画目の右側の張り出し方や縦線の長さ等でバランスをとっているように見えるものもあります。斜めの線、横の線、縦の線のシンプルな要素の組み合わせ(だから難しい?)でも、並べて見比べると、色々なデザインがあるのですね。
DTPで一番使い慣れているモリサワ・リュウミンは、縦棒の位置が左右センター寄りのデザインです。そのデザインは、由来となった活字によるものなのでしょうか。
~おまけ~
・ | ぶんかる【文化庁公式】ツイッター(九州国立博物館;4/5)に掲載された、万葉集の新元号の出典元:大伴旅人の「梅の花の歌三十二首」の序文の画像では、令の字形は「ヽ+マ」となっています。 |
・ | 新元号の発表での墨書「令」の筆文字のような、「ヽ+刀」または「ヽ+ア」のような字形を探してみましたが、明朝体や筆文字などの身近に使えるフォントでは見つけられませんでした(唯一、中華字海で「ヽ+刀」の字形が示されたものがあるのみでした)。将来、日本語のフォントに、この字形が追加される、可能性はあるのかないのか……。 |
→(2019/04/24:新元号「令和」発表記者会見での墨書「令」の字形に対応した
「モトヤ新楷書3/5」「モトヤ大楷5」の無償フォント提供)
・ | 新元号の祝賀商品(東京銘菓)のパッケージで、墨書「令」に似せて作字?したような令和を見かけました。 |
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