42. 2色印刷する書籍のDTP


紙で印刷することを目的とする専門書・実用書・語学書等の書籍のDTPで、2色印刷では現在でも特色で印刷する部分をプロセスカラーのマゼンタやシアンで作るのが定石です。今時のアプリケーションやRIPの環境で、特(スポットカラーを使うことができないわけではない、にもかかわらずです。

プロセスカラーのみを使ってデータを作った方が、カラーの設定で破綻が起きる要素が少なく、簡単に作成でき、出力トラブルのリスクも少なくなります。何らかの理由で、特(スポットカラーを使う場合のメリットとデメリット、リスクはどのあたりにあるのでしょうか。

◆ 特(スポットカラーを使う場合のメリット

最終イメージに近い色で編集・校正作業が進行できる。
特色のカラープルーフ出力用のデータを別途作成する必要がない。

◆ 特(スポットカラーを使う場合のデメリット、リスク

2色のみのデータをきちんと作ることは案外難しいようです。出力の現場では、出力するスポットカラー以外の色や、CMYKカラーのデータが混入してしまう等、カラー設定が破綻したデータに遭遇することがあります。
(スポットカラーに透明効果を使うと、RIP処理時に透明効果がデザイン意図どおりに効かなくなることがある。
(スポットカラーのグラデーションがうまく出力できないことがある。RIPによって出力結果が異なる場合もある。
特色を使ったデータは、インクジェットDDCPですべての色が出力されてしまうことがある。ブラック+特色のつもりが、誤って4色で作られた部分のCMYも出力されてしまう等。
2色を掛け合わせる色が簡単には作成できない。プロセスカラーのみならブラック+マゼンタで簡単に作成できる。オーバープリント、透明効果を使用する等する場合は、出力工程でのトラブルの可能性もある。
スポットカラーを含んだ2色の画像を作成することが少し難しい。やり方のわからない人もいる。
上記のような出力時のリスクは、InDesignのバージョン、出力用に作成するPDFの作り方や、使われるRIPの種類・設定等により結果が異なることがあります。適切に作られたデータを、最新のAdobe PDF Print Engine 2でメーカーの指示する設定どおりに出力すれば、トラブルはおおむね回避できるようです。
* * *

組版の現場では、出版社様の書籍での組版・校正は以下のようなフローになることが多いようです。

2色用の印刷用のデータはブラック+マゼン(またはシアンのプロセスカラーで作成し、カラープルーフで校正する。
印刷インキのシミュレーションは、平台の本紙色校正で行う。
サンプル頁画像をJPEGで作成する際は、特色の色を付けたものを作成する。

特色部分をマゼンタやシアンで作成すれば、インキを後から決める場合でも、とりあえずのスポットカラーを決める等せずに、すぐに組版を開始できます。イラスト等を別進行で依頼する際も、口頭「墨とマゼンタでお願いで済んでしまいます。

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