248. アタリ罫
- 2020年05月11日
- その他
アタリ罫(アタリケイ)のアタリを漢字で書くと「当り」で、いくつかある意味のうち辞書的には「てがかり。目あて」が、該当するのでしょう。今どき、当りは「くじなどにあたること(←→はずれ)」の意味で使うイメージの言葉であるためか、アタリ罫を初めて聞くと???となるようです。
その昔、オフセット印刷の一工程として、版下を作っていたころ(DTPの前時代)、写真を貼り込む位置や大きさを、正確に示すために、墨色でアタリ罫が書かれました。版下に引かれたアタリ罫は、次の製版工程―集版で、写真等の貼り込み位置として使ったあとは、消されるのが基本でした。一般的に、角版の写真は、バック境界が淡く境目がはっきりしない場合(“ケイイキ”と指定)を除き、墨罫で囲むことはないためです。
DTPでも、写真データが後送となる場合には、位置と大きさを示すために罫囲み(または墨アミ)がアタリとして使われます。写真データを入稿する際には、それがアタリ罫であることを明示した方が丁寧な指定となります。
アタリ罫とすることを、組版指示や校正指示では、「ケイアタリ」「アタリ」と書くこともあります。
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◆関連する使わなくなった用語
・アタリ画像:見本として仮に貼っておく、解像度の低い画像←→本画像、高解像度画像。
・写植:しゃしょく、写真植字の略;ガラス板の文字盤により写真の原理で印画紙に印字する手動写植機で、書体・級数・1行何文字・行間何歯の指定によって棒組をするもの。1980年代半ば頃より、ページ組が可能な電算写植も使用された。今では、マンガのフキダシに入れる手書きのセリフ(ネーム)を、データ化したものを指す言葉として受け継がれている。
・版下:はんした;レイアウト通りに、段ごとに棒組した写植(印画紙)を、版下台紙に貼り込んで作成するもの。罫線は製図用ペンで手書きされた時代もあった。写真の部分は、アタリ罫の中に、写真のラフを手書きで書いたトレッシングペーパーや、写真のモノクロコピーを貼っていた。
・製版:せいはん;アナログ製版とも;写真原稿をドラムスキャナで色分解し、CMYK各版の網点フィルムを作成し、版下をカメラ撮りした製版フィルム(色数分)へ合成して集版し、刷版を焼くための製版フィルムを作成する工程。
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