49. 闕字(けつじ)
- 2014年08月01日
- 用字用語
組版の現場で、昭和初期に出版された伝記を現代表記化して復刻する案件に、原文が「闕字」となっているところをいくつか見かけました。
★ 闕字(けつじ)
天皇・貴人に関係した称号や言葉の上に、敬意を表すために一字または二字分の余白をあけること(同じ字で、語句・文章中であるべき文字が脱落している、という別の意味も)。
※闕字よりさらに丁寧な敬意の表し方として平出(へいしゅつ)という方法があり、天皇や天皇の祖父母・父母などの文字や天皇の諡は、次の行の行頭に書く。
ベタ組を基本とする縦組みで、文中に意図して全角アキを入れるということはあまりありません。「?」や「!」の後ろを全角アキにする流儀があるくらいでしょうか。闕字は組版ルールというよりも、中国から伝わった、手書きで文章や手紙を書く時代のルールで、かつては公文書の書式の規定でもあったとのことです。
昭和初期の書籍は、もちろん活字で組版された活版印刷ですが、かなフォントをOpenTypeフォントで復刻されている「秀英5号」にすると、当時の雰囲気を醸し出す復刻版としての組版が実現できそうです。
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