202. はじめて習う約物:かぎ(「 」)
- 2018年09月20日
- その他
(ヨコ組み用:フォントによって、縦棒の長さは色々です。)
「カギ括弧」と呼ばれることの多い、この約物を小学校1年生の国語の教科書で、「かぎ」と書かれているのを見かけました。
ことば | |
▼はなした ことばは、かぎ(「 」)を | |
つかって かきます。かぎを つかって、 | |
ノートに かきましょう。) | |
(『こくご一下』平成27年版、光村図書、p.16) |
日本語の組版では、いくつもの括弧類を使い分けます。( )「 」『 』“ ”〔 〕[ ]等。中でも以下の2つは、最もよく使われるのものです。
「 」(かぎ、かぎ括弧、ひっかけ) | ||
( )(パーレン、括弧、丸括弧) | ||
(二十数年前に弊社で作成した『じょうずな校正・読みやすい文章』より引用) |
活版印刷時代からの方々は、“かぎ”・“ひっかけ”、“パーレン”と呼んでいたのでしょう。DTP世代は、“カギ括弧”、“パーレン”・“括弧”でしょうか。また、組版・DTP業界では、“カギ括弧”のことを、「かっこ」と呼ぶのはNGです。「かっこ」と言うと、普通は“パーレン”の方を思い浮かべるからです。
活版印刷の頃からの印刷業界用語と、小学1年生の教科書で使う言葉が同じ「かぎ」というのも面白いですね(国語辞典では、「かぎ【鉤】③鉤括弧の略。」広辞苑第五版)。一般的には、括弧類のひとつであることから、いっしょくたに「かっこ」と言われてしまいがちなものであるのに。
いままで言葉にしたことがなくても、まだまだ「かぎ」で通じそうです。特に、特徴のあるものを、“短い”(小さい)カギ括弧”というよりも、「短カギ」「小カギ」という方がDTP職人ぽくないでしょうか。
~おまけ~
カギ括弧、かぎ括弧とカタカナや平仮名で書くことが多いのは、漢字は「鉤」で(keyの鍵ではありません)、常用漢字でないからでもあるのですね。「かぎ【鉤】①先の曲った金属製の具。また、それに似たもの。」(広辞苑第五版)。鉤爪(かぎづめ;猫のツメのように湾曲した爪のこと)の鉤です。そういえば、“鉤括弧”と変換したことはないような気がします。
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