134. 「真の原因」の究明が大切
- 2016年07月20日
- その他
組版・DTP(から出力まで)で、トラブル・不具合・不良が発生したときには、「真の原因」に近づく努力が、適切な対策をとるためにも大切なことになります。
トラブルが起きたときは、まず、作業者の話を聴く、現場の記録を見るなどし、ひとつひとつの事実を積み上げていかなければなりません。いつ・どこで・誰が・何で・どうなったのか、をはっきりさせます。何が起こったかを想像することも必要ですが、事実に基づかないと誤った方向へ行ってしまいます。
ヒューマンエラーでも、機械・設備の不具合であっても、「何が悪くて、失敗したのか」を的確につかんでおかないと、適切な対策をとることができずに、何度か同じ失敗を繰り返す(再発する)ことになります。
真の原因に、たどり着けないときの原因のひとつが「思い込み」です。原因の究明をするときに、①発生のメカニズムを把握し、②再現テストを行う必要があるのですが、軽微なトラブルと捉えてしまうと、その必要性に思い至ることができないこともあります。それにより、そのトラブルの真の原因は放置され、いつか再発することになります。
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以前〔121.「恊」と「協」〕で取り上げた、「協働」であるべきところが「恊働」と入力されることがある、という件ですが、当初の「中国語の入力を行っているMacで起きている」との思い込みで、長い間「真の原因」に近づけないでいました。この間、コラムの記事を書いた後に、再度、作業者の話を聴き、組版の現場の各作業者が使っている日本語入力環境をよく調べたところ、今でも使うことのある、ことえりの古いバージョン!(4.1、4.2)で、“きょうどう”の変換項目として「協働」がなく、「恊働」のみがあることが分かりました。変換時に“働”のみに目がいってしまい、“協”の字が違うものであることに気が付かず「恊働」を選んでしまう、というのが原因の1つのようでした。発生のメカニズムがここまで分かれば、古いことえりには、正しい変換候補として「協働」を登録しておくなど、より的確な対策を取ることができるようになります。
~おまけ~
もうひとつ、以前〔128.「挙」と「拳」〕で取り上げた、「挙上」であるべきところが「拳上」となっているものがある、という件ですが、これも、「きょじょう」の日本語変換の候補に「拳上」が入ってしまっていることが原因のようです(コラム筆者PCのMicrosoft Office IME 2007にもありました)。これでは、世の中で選び間違いが頻発しますね(不要な変換候補が消せるとよいのですが)。
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