233. 書籍用QRコードの最小サイズ
- 2019年09月25日
- その他
書籍では、限られたスペースに載せきれない、より詳細な説明(動画・画像を含む)を別途Webページに置き、そのリンクをQRコードとして掲載することがあります。読者は、QRコードをスマホで読み込みリンク先のページを閲覧します。
スマホのカメラ(とアプリ)は、性能の高い/低いによって読み込めるQRコードの1つのセルサイズが異なることがあるようです。性能の高いものから低いものまでを対象としなければならないとすると、最小の1セルのサイズは、0.25~0.27mm(より確実には0.3mm以上)となるのでしょうか。
◆最小サイズのシンプルな測り方
QRコードの上部&左側の角に3つある、切り出しシンボル()は、7セル分の大きさなので、
0.27mm×7セル=1.89mm(2mm弱)
または、
0.3mm×7セル=2.1mm(2mm強)
時間をかけずに一発で判定できる方法です(場合によっては目視でも)。
***
組版指定やレイアウトフォーマット作成時には、QRコードの仕上がりサイズの指定が必要になるでしょう。以下は、最小の仕上がりサイズを0.5mm単位で試算したものです(高性能のカメラを搭載するスマホでは、もっと小さなQRコードを読むことも、もちろん可能です)。
◆一般的なスマホカメラで読める、と思われるサイズ(1セル0.27mm)
33×33、37×37、41×41、45×45、49×49
9mm | 10mm | 11mm | 12.5mm | 13.5mm |
33セル×33セル(バージョン4):最小9mm
37セル×37セル(バージョン5):最小10mm
41セル×41セル(バージョン6):最小11mm
45セル×45セル(バージョン7):最小12.5mm
49セル×49セル(バージョン8):最小13.5mm
こうしてみると、書籍における最小のQRコードのサイズは、バージョン(セル数)によって9mm~13.5mm程度と考えてよいのでしょう。
ただし、1セル0.27mm程度のサイズで校正後、読めないスマホがあるとのことで、差し替えられたQRコードもありました。QRコードの読み取りをより確実なものにするためには、以下のサイズも参考にしてください。
◆性能が低いカメラ&アプリでも読める!?・より確実なサイズ(1セル0.3mm以上)
33セル×33セル(バージョン4):10mm以上
37セル×37セル(バージョン5):11.5mm以上
41セル×41セル(バージョン6):12.5mm以上
45セル×45セル(バージョン7):13.5mm以上
49セル×49セル(バージョン8):15mm以上
1セル0.3mmでも、読めないスマホが存在する可能性は否定できません。クレームゼロを目指すのならば、1ミリでも大きいサイズで掲載することが賢明な選択となります。
書籍用QRコードを作成する際は、格納する文字数によってセル数を“自動”とした場合は、作成されたQRコードのバージョン(セル数)を確認し、セル数によって適切な仕上がりサイズを決めます。また、支給されたQRコードが○○セル×○○セル(4セル刻み)かを調べるのは、(専門の読み取り機器・ソフトを持たない場合)拡大コピーしたもので、1・2・3・4・5・・・と、地道に数えるというのが現実的なようです。
~おまけ~
無料でQRコードを作成できるWebサイトには、誤り訂正が一番高い「レベルH(30%復元能力)」を推奨としているところがあります。この設定のままQRコードを作成すると、URLの文字数が少なくても、バージョンの高い(セル数の多い)QRコードが生成されることになります。書籍のような、スペースを有効に使う必要がある(QRコードを小さくしたい)案件では、縮小することにより1セルサイズが小さくなり、カメラ等の性能の低いスマホでは読めないこともある、適さないものとなります。誤り訂正レベルを、一般的な環境での使用とされる、レベルM(15%復元能力)に下げると、縮小したときに適正なセルサイズになるQRコードとなります。
https://bunkyo-kumihan.com/kumihan_blog/
レベルHを レベルMとすると、
45×45が 33×33となる。
◇誤り訂正レベル
・レベルL:それほど汚れない環境で、データ量が多い場合
(または、できる限り小さくしたい場合)。
・レベルM:一般的な環境での使用
・レベルQ:工場などの汚れやすい環境での使用
・レベルH: 〃
扱える文字数(英数字)
2019年で、「QRコード」は開発から25周年とのこと。今では、スマートフォンのQRコード決済にも使われる身近なものですが、そもそもは、トヨタ生産方式(通称「かんばん方式」)において、部品・材料管理(かんばん)や伝票処理(納品書・受領書)、生産実績の入力等で使うために開発されたものだそうです。なので、工場などの汚れやすい環境で繰り返し何度も付けたり・外したりするうちに、汚れたり・傷がついたとしても、高速に読み取れることを重視した仕様になっているのですね。
あわせて読みたい
131. 書籍でのQRコードのサイズ
115. 定期刊行物コード(雑誌)
93. ISBNのあれこれ
※このコラムおよび、コラム中の文章、画像、動画の無断転載および複製等の行為はご遠慮ください。