240. 日本語と中国語の混植
- 2020年01月08日
- 組版・DTP
学術系の紀要の案件で、日本語と中国語(簡体字)が段落内や1行内で混在する原稿を見かけました。1つの文章内や引用文献・参考文献の1行内で、どこが中国語フォントで、どこが日本語フォントを使えばよいのか、判別が難しい原稿でした。
今回は、日本語を指定の小塚明朝Rで、中国語(簡体字)を原稿のWordデータに準じてSimSunで対応しましたが、線の太さの違いが少し気になるものでした。これも、日本語と中国語の区別がつくという意味はありそうですが、同じような漢字を使う言語なので、日本語と中国語のフォルムの違いを意識しないで読める(字形のみが異なる)組み合わせもあるのでしょうか。
◆《見本組》(明朝系)
〇小塚明朝R+SimSun
《参考文献》
〇リュウミンR-KL+MP ARBiaosong※
《参考文献》
※「MORISAWA PASSPORT 英中韓組版ルールブック」(PDF版)p.053の日本語と中国語の混植例での組み合わせ。
日本のフォントメーカーが提供する書体で、日本語書体のデザインをベースにして開発された中国語書体がいくつかあります。日本語と中国語の混植でも、統一したイメージで組版が可能になるはずです。
◆明朝系
・UD黎ミン 簡体字
MORISAWA PASSPORT 2019年度新書体(提供日時未定)のフォントに、和文書体のデザインをベースに開発された明朝体の書体「UD黎ミン 簡体字」(L / R / M / B / EB / H)が発表されています。黎ミンの横画が太めな特徴が許容できるのなら、こちらで、本文組版も可能となります。
「UD黎ミン 繁体字」(2019年度新書体:提供日時未定)や「UD黎ミン ハングル」と合わせて使えるようになると、日本語・簡体中文・繁体中文・ハングルを併記する多言語マニュアル等で統一したイメージで作成できるようになるのでしょう。
◆ゴシック系
・ヒラギノ角ゴ 簡体中文
・UD新ゴ 簡体字
(どちらも、MORISAWA PASSPORT)
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