257. 閉じカギ括弧の前に句点を入れる/入れない
- 2020年07月30日
- その他
毎日新聞 校閲センターのツイートから、「なぜ新聞は閉じカッコの前に句点を付けないのか。」という記事を読みました。句点を付ける方の教科書からは、遠ざかることうん十年。「こんにちは。」と、閉じカギ括弧の前に打つ句点(。)は、一般的な出版物だけを見る生活では、もう見かけることはありません。
閉じカギ括弧の前に句点を入れる/入れないは、かなりおおざっぱに言うと、以下の2つの流儀に分かれます。
・新聞や一般的な出版物では、閉じカギ括弧の前に句点は入れない(会話文であっても)。
「こんにちは」
・教科書や公用文では、閉じカギ括弧の前に句点を入れる(おもに、文章や会話文)。
「こんにちは。」
これは、1946(昭和21年)の「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)」にのっとったもの、とのことです。「(1)マル」の最初の二つのみ以下に抜き出します。
一、マルは文の終止にうつ。
二、「 」(カギ)の中でも文の終止にはうつ。
もう一つ、会話文のない専門書等では見かけない表記例です。Y新聞社のスタイルブック2005の“句読点と符合 1.句点「。」”では、具体的に句点を付けるとき、付けない時のルールが記されています。その中の一つに、閉じカギ括弧の後に句点を付ける例も示されています。
〔例〕会心の復帰戦を振り返り、「とにかく楽しかったわ」。
《参考》
・「なぜ新聞は閉じカッコの前に句点を付けないのか。」(毎日ことば;校閲記者ブログ)
~おまけ~
小学校国語の教科書では、句点と閉じカギ括弧の組み合わせを、普通の書籍ではあまり見かけない、句点がカギ括弧に食い込むような0.5字分でツメ組をしているように見えるものがあります(教科書の組版経験のある作業者によると、教科書会社専用フォントには、句点と閉じカギ括弧を1つのグリフにしたものが用意されているとのこと)。
小学校では、会話文は終わりの句点(。)と閉じカギ括弧を、原稿用紙の1つのマス目の中に書くように教えます。光村の教科書では、会話文の「 」(かぎ)の使い方を、小学校1年で、4当分したマス目を用いて教えるそうです。教科書では、それに合わせた専用のグリフが使われているということなのでしょう。
《参考》
第18回 会話文の「 」(かぎ)の正しい使い方は?(教科書の言葉 Q&A 教科書編集部、光村図書出版)
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