262. 秀英丸ゴシックはJIS90字形です。

執筆者名に使われている漢字が、Wordの游ゴシックで出力された原稿と、A-OTF秀英丸ゴシックBで組版された校正紙で、異なる字形となっていました。JIS90字形との久しぶりの遭遇です。

モリサワのHPで秀英丸ゴシックBの文字セットを確認*すると、「AJ 1-3」（OTF Std）となっています。

＊フォントページの下にある表のタブ「文字セット対応表」をクリック！

AJ 1（Adobe Japan-1）は、アドビシステムズ社が日本語DTP用に開発した文字集合規格で、AJ 1-3、AJ 1-4、AJ 1-6がよく見かけるものとなります。

AJ 1-3はフォントの製品記号としては、Std（スタンダード）とされることが多いようです。Windows 7・10でよく使われる、MS 明朝やメイリオ、游ゴシックなどの文字セットJIS2004字形とは異なり、古いタイプのJIS90字形となっているのが注意点です。

JIS2004字形とは異なるJIS90字形（その元はJIS83字形）の漢字は、130字程度と、一般的な書籍で頻繁に使うものはそれほど含まれてはいませんが、はっきりと異なる葛藤・葛飾区のJIS2004字形、JIS90字形がよく見かけるものでしょうか。

左：JIS90字形、右：JIS2004字形（Nフォント）

カタログ制作など、デザイン系のフォントのバリエーションを重視するものでは、JIS90字形のフォントを使用することを宣言している制作会社を見かけたこともありました。ただし、学習参考書、専門書で、字形にこだわる場合は、JIS90字形のフォントを意図せずに選択してしまうと、校正段階での赤字修正が必要となることがあります。

フォント名にStdとある場合は、使用上の注意が必要です（字形にこだわる案件ではおすすめできません）。

丸ゴシック系のフォントでは、モリサワの新丸ゴ・UD新丸ゴ・ヒラギノ丸ゴ、フォントワークスのスーラ・UD丸ゴで、JIS2004字形のフォントを選択することが可能です。上記フォントでは、JIS2004字形対応のOpneTypeフォントであることを明確に示すためのマーク「N」が付く、StdN、ProN、Pr6Nフォントが選択できます。「N」が付いていない、Pro・Pro5・Pro6はJIS90字形のものがあります。

（参考）［PDF］MORISAWA FONT DICTIONARY Ver.3.0（2013）

フォントのあれこれが見やすいレイアウトでシンプルに解説されています。後半はフォント用語集（Web版フォント用語集は、これをベースに更新した情報が見られるようです。）

～おまけ～

「秀英丸ゴシック」はモリサワパスポート、フォントワークスLETS、Adobe Typekitで異なるフォント名のものが存在します。

・A-OTF 秀英丸ゴシック（L/B）　･･･MORISAWA PASSPORT

・FOT-DNP秀英丸ゴシック（L/B）･･･LETS

・DNP 秀英丸ゴシック（L/B）　　･･･Typekit

３者とも、文字セットはAJ 1-3（JIS90字形）です。

※ただし、MORISAWA PASSPORTには、N対応（=JIS2004字形）の「StdN」も用意されています。

（秀英体フォントの互換性や仕様の差異に関する資料）［PDF］株式会社モリサワ（MORISAWA PASSPORT、Select Pack 1/3/5、Select Pack PLUS）、フォントワークス株式会社（LETS）、アドビシステムズ株式会社（Typekit）、ディー・エル・マーケット株式会社（DLmarket）、Monotype Imaging Inc.（MyFonts）から提供、販売する秀英体フォントについて（大日本印刷株式会社、2018）

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