267. 図版作成 シンプルで的確な指定


組版の現場では、専門書などの1色・2色の図版作成をよく行います。概念図やグラフなどの作図が多いようです。版元からくる原稿には、さまざまな指定があります。そのなかでも「シンプルで的確な指定」(「いつもの」決まり事を含む)になっていると、誰がやっても想定外のものがあがってくることは稀で、初校戻り時の直しも多くない、というようになります。

図版作成に必要な具体的な指定は、以下のようなものでしょうか。

①左右120mm(天地なりゆき)

②文字11Q中ゴシック、行送り17H

③オモテK、スミベタ

④(その他は、図版原稿の指示どおり)

①図版のサイズ 天地×左右(または左右のみ指定で、天地なりゆきの場合も)

②文字サイズ、使用フォント、行送り値

③罫線の太さ、種類(実線、破線、点線)、色

④背景の平網指定等

これらすべてが過不足なく指定されていると、どの作業者が作図しても、同じように上がってきます。逆に、1つでも欠けるものがあると、作業者によってできあがりにバラつきがでてしまうかもしれません。特に、「図版のサイズ」の指示が重要です。指定の左右サイズに基づいて、それぞれの図形をどのくらいの大きさにして、どうバランスよく配置するかがおおむね決まります。それが明確に示されていないと、どの図版も版面左右いっぱいに作成されて大きすぎるものが上がってきたり、他とのバランスでサイズを決めたものが上がってきたり、作業者によりばらつきが出るリスクが増大します。

また、「文字サイズ」を適切に指示することも必要です。入り組んだフローチャートなど、文字サイズが定まらないと、それぞれのオブジェクトの位置も決まりません。文字サイズは、文字量の多い・少ないで2パターンくらいのサイズを決めておくと、迷わず指定ができるかもしれません。

作図指定とは、誰が作業しても、おおむね同じものが上がってくる客観的なものであることが理想です。そうなっていないものについては、DTP作業現場に原稿を回す前に、担当営業等が、補助的に指定を追加する等のサポートが必要となります(コストも上がります)。

何十年と長い年月発行され続けている専門誌などでは、十年くらい昔のものを見ても、ほぼ同じテイストの図版が作られていたりします。長年同じ指定で、いつの時代も、途中で印刷所が変わっていても、印象はほとんど変わりません。そういうものは、図版の情報量によって、3パターンくらいの図版サイズや文字サイズの基本パターンが想定されていて、それに基づいて、ひとつひとつの図版に対して「シンプルで的確な指定」がされています。

 

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